ぶっき Library... 六〇〇〇度の愛 (鹿島田真希)

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六〇〇〇度の愛 (鹿島田真希)

《能書》
他人を愛するには自分が確立されていることが前提で、自分が確立できているとは社会的経済的に自立できていることではなくて、対面している状況で相手に依存したり引きずられたりしない心の状態が確立されていること(ひとまずそういうことにしといてください)。基本的に幼児期は相手に依存したり引きずられたりするわけで、つまり人生の出発時点では自分は確立されていないわけで、成長していく中で自分を確立していくことになりますが、失敗してしまう人は少なからずいて(本人のせいとは限らないのだけど)、それを扱った小説もまた少なからずあります(限られた経験上ですが)。
この小説もその一つと言えそうで、子供の頃の家庭環境から“愛”を実感できなくなっている主婦が、長崎での青年との出会いを通して“愛”に目覚めていきます。

《感想》
見所(?)は執拗なまでの心理描写。三人称語りなのですが、基本的に主人公目線で一貫していて、その内面変化が、「」無しで地の文に埋め込まれた会話とモノローグを軸に進められます。暗喩的に原爆ネタ、キリスト教&教会ネタなどが絡められるのが個性的ですが、もっとも原爆ネタについては、なんで原爆?みたいな違和感が拭えませんでした。
それほど面白い話ではないし(笑)、陰鬱でウジウジとしたトーンに貫かれていて、文章もあんまり洗練されていなくて、それなのに最後まできっちり読めたのは、あまり長い作品ではなかったこともあるけれど、語り口の一途な迫力によるものと思います。

しかしドラマとしては今ひとつパッとしません。理由はハッキリしていて、主人公の覚醒の瞬間が地味過ぎて効果が乏しいし、覚醒前後でトーンが同じなんです。極端にトーンが変わると白々しくなってしまうかもしれませんが、こういうテーマを選ぶ以上それをしつつ自然に読ませて欲しかった。ホッとするような安らいだ気分とか陽だまりの中で身体を伸ばすときみたいな解放感とか、なんかあると思うんですよね。陰鬱なトーンから抜け出せないということは、表現力の限界なのか、ひょっとしたら作者自身はまだ自分の問題から脱却し切れていないのかも。

ついでに触れておくと、主人公が出会った青年は、主人公の覚醒を引き出すために狂言回し的存在だから止むを得ないかもしれないけれど、芯が感じられないキャラでした。必ずしも作品の弱点にはなっていないかも、だけど。
6000doxai.jpg
  1. 2006-04-30 18:12:18
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