ぶっき Library... マルドゥック・スクランブル (冲方丁)

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

マルドゥック・スクランブル (冲方丁)

3分冊という大作ですが、序盤こそやや足取りが重いものの、その後はのめりこむようにして一気に読み上げました。力作です。SFと暴力と賭け事を毛嫌いしない人だったら、十分に楽しめると思います。

基本はSFですが、+アクション&バイオレンスといったところでしょうか。

主人公は不幸な生い立ちの少女。
少年少女が主役となると、たいていは彼らの成長ぶりが描かれます。この手の成長物語は爽やかさを演出するためのネタとして便利に使われることが多くて、そういう小説(に限らないけど)はえてして雰囲気に流してお茶を濁しがち。感情移入して読んでいると梯子を外されることがしばしば。
そんなおざなりの成長物語にウンザリしているあなたにお勧めしたいのが『マルドゥック・スクランブル』!!!これはホンモノです。作者冲方丁は精魂込めてヒロイン覚醒のプロセスを描き切っています。それも純文学臭とか社会派臭を交えず、あくまでもエンタメの作法の中で。必ずしも成長物語として深かったり洗練されているわけではなくて、描かれている事柄そのものにも増して、そこから響いてくる作者のパッションに打たれました。

圧巻なのは第2巻から第3巻にまたがる長大なカジノのシーン。このシーンは冗長であり過ぎたり説明不足であったり文章に飛躍があったりと粗も多いのですが、渾身と言いたくなるほどの投入感があって、しびれました。

このヒロインには若い世代特有の飢餓感とか焦燥感みたいなのがリアルに鼓動していて、オッサンやオバサンが描く10代とは一線を画しています。冲方丁は1977年生まれの若い作家ですが、20代前半だからこそこういう生々しさが表現できたのかも。

読みづらいというほどではないにしても、粗削りで不恰好な作品です。委細かまわずパッションで描き切った、という感じ。
でも大枠で見ると、ポイントはしっかり押さえられているし、なかなか演出巧者と感じます。盛り上がりの作り方が堂に入っています。また、バイオレンスな格闘シーンは迫力・スピード感ともにバッチリだし(ただしところどころ分かりにくい)、SF的な大道具・小道具の面白さもあるし、なによりもキャラの造形が魅力的。キャラとしてのユニークな面白さがある上に、巧みに人間味が演出されていて、知らず知らず引き込まれてしまいました。
malducc-scramble.jpg
  1. 2006-04-30 07:14:31
  2.  冲方丁
  3.  |
  4.  Trackback(5)
  5.  Comment(0)
  6.   Top ▲ Home

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

   

コメント

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://notaro.blog64.fc2.com/tb.php/54-5d3b9913
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

読書狂のひとこと読書感想文~マルドゥック・ヴェロシティ3
◆読書狂のひとこと読書感想文◆マルドゥック・ヴェロシティ3/沖方 丁 マルドゥック・ヴェロシティ 3冲方 丁 (2006/11/22)早川書房 この商品の詳細を見る続けて3巻も一気に読んでしまった。予想していたものと
  1. 【読書狂のひとこと読書感想文】~ちょっと辛口、かもしれない    
  2. 2006-12-06 09:39:22  
読書狂のひとこと読書感想文~マルドゥック・ヴェロシティ2
◆読書狂のひとこと読書感想文◆マルドゥック・ヴェロシティ2/沖方 丁 マルドゥック・ヴェロシティ 2冲方 丁 (2006/11/15)早川書房 この商品の詳細を見る一見幸せな時間を思わせられる。戦士たちの休息。でも
  1. 【読書狂のひとこと読書感想文】~ちょっと辛口、かもしれない    
  2. 2006-12-05 08:38:00  
読書狂のひとこと読書感想文~マルドゥック・ヴェロシティ1
◆読書狂のひとこと読書感想文◆マルドゥック・ヴェロシティ1/沖方 丁 マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉冲方 丁 (2006/11)早川書房 この商品の詳細を見る全3巻のうちの一冊目。この本の発売を知ってから、手に
  1. 【読書狂のひとこと読書感想文】~ちょっと辛口、かもしれない    
  2. 2006-11-28 09:36:22  
[SF][冲方丁]マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 作者: 冲方丁 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2003/05 メディア: 文庫 いつものように、ハヤカワ文庫の棚をチェックしていて(FT、SF)、そのままハヤカワ文庫の日本作家の棚に移り、小池真理子の直木賞受賞作
  1. 空中楼閣    
  2. 2006-08-19 20:43:35  
「マルドゥック・スクランブル」冲方丁
  nineさんが昨年のベスト1に躊躇なくあげておられて、それで1冊目を買った。おおきさんが褒めておられて、それで2,3冊目も買った。ひねもじら乃太朗さんが褒めておられて、それで読み始めた。皆さんに感謝!むっちゃくちゃ面白かった。こういうこと滅多に言いません
  1. 本を読む女。改訂版    
  2. 2006-07-20 01:45:56  

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。