ぶっき Library... 世界の終わり、あるいは始まり (歌野晶午)

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世界の終わり、あるいは始まり (歌野晶午)

これは好き嫌いが分かれそうな作品。

基本的にはミステリー的な謎解きの楽しさを追及した作品だと思います。あるシチュエーション(一連の事件)と、それについての考えうる解釈が次々と示されていきます。どれが正解かということよりも、さまざまに解釈することを楽しむ作品だと思います。そうした作者の誘いに乗れるか乗れないかが分かれ目だと思います。鑑賞するような受身な姿勢で読むと、人物の描き方が物足りなく感じられるでしょうし、何よりもあの終わり方には欲求不満が残りそうです。

ただし、ゲーム性だけの作品ではありません。誰しも思いがけず犯罪の当事者になりかねないという現代的な恐怖感が巧みに織り込まれています。ひょっとしたら、作者の狙いとしては謎解きの楽しみも現代的な恐怖感も等しくメインテーマなのかもしれませんが、作品から受ける印象では謎解きのゲーム性が優勢です。だから、読み手がリアリティを追及してしまうと前述のような不満が出てくると思います。

この作家は変則的な語り口で読者と駆け引きすることを好みます。この作品もその1つだと思います。変則的であるがゆえに、読者が作者の意図とは異なる展開を期待し、結果失望してしまうリスクがあります(うまくいけば「まいりました!」ですが・・・)。『世界の終わり、あるいは始まり』にはそういう危うさを感じます。結末を読んで(というか結末間際で嫌な予感がしてしまいました)「なるほどね・・・」と一応得心したものの、もやもやした感情が残りました。
sekaixhajimariorowari.jpg
  1. 2006-04-30 07:13:04
  2.  歌野晶午
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