ぶっき Library... 安達ヶ原の鬼密室 (歌野晶午)

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安達ヶ原の鬼密室 (歌野晶午)

力作『ブードゥー・チャイルド』に続く長編。シリアスな人間ドラマだった前作から一転、ミステリー的なアイディアと遊び心が感じられる作品です。
共通点を持つ3つの独立した物語からなる長編という異色作。3つの物語は単純に直列しているのではなく、1つの物語(これが最も長い)を、他の2話の前編後編がサンドイッチのように挟み込む構成になっています。音楽でいうところのシンメトリーが形作られています。ミステリーでは珍しいんじゃないでしょうか。

3つの物語は設定も雰囲気もまったく異なりますが、巧みに描き分けられています。のどかな子供の絵日記。留学生が米国で遭遇した事件はカラッとした雰囲気。メイン(サンドイッチの中心)の戦時中の物語は古典的なおどろおどろしさ。子供の絵日記は、子供にしては理路整然としすぎているようにも感じますが、許容範囲だし、むしろ小説としてはこのくらい整っている方が読みやすいです(ただでさえひらがなが多くて読みづらいから・・・)。

戦時中の物語の大掛かりなトリックには感心しました。わたしはまったく思いつけませんでした。

個々の物語の中での謎に加えて、3の物語の共通点を模索しながら読み進むことになります。そして、個々の物語の中での謎の解明が、この構成上の謎の解明につながっていきます。謎の多重構造です。
すべてに気が付いたときはにんまりさせられますが、残念ながらにんまり以上のものはありませんでした。というのも・・・(以下ネタバレ)

3の物語はトリックの共通性で関連付けられているのですが、これだけだと小説としての感銘には至りにくいと思います。結局はアイディアの一発勝負なので、この共通点に気が付いたときはにんまり出来るけど、その興奮は短時間で醒めてしまうしあまり長続きしません。そして、前述のように3つの物語のトーンがバラバラなので、それぞれが打ち消し合ってしまい、読了後の印象は曖昧模糊としてしまいます。
3つの物語を単純に直列した場合と(長編、中篇、短編からなる連作ミステリーとした場合)、どちらが面白くなったか思わず考えてしまいました。

もっとも、作者はただにんまりさせたいためにこの凝った長編を書き上げたのかも。
adatigaharaxonimissitu.jpg
  1. 2006-04-30 07:12:40
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