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ブードゥー・チャイルド (歌野晶午)

読み応えがありました。デビューからの数作がピークというミステリー作家が多い中、着実にポテンシャルを上げている歌野氏は注目だと思います。ちなみに『ブードゥー・チャイルド』はデビュー作『長い家の殺人』から10年目の作品。

ミステリーの謎解きに人間ドラマを絡ませた点、とくに人のあり方を問うような題材を扱った点が前作『Rommy』と共通していますが、消化不良が感じられた『Rommy』に対し、『ブードゥー・チャイルド』は堂々と描き切られています。ミステリーの枠を取っ払っても十分に楽しめる作品に仕上がっています。

というか、謎解きの部分はむしろシンプルで、おまけに作者がかなり積極的(?)にヒントを出してくれるので、ミステリーとしての性格はかなり弱くなっています。具体的には・・・(以下ネタバレ)

読者が代理出産に関して聞きかじっていれば、序盤で事件の全貌が見えてしまいます。執筆当時のことは分かりませんが、現在(2004年)ではさして新鮮味のあるネタではないでしょう。しかも、代理出産を素材のまま物語の核に据えていて、ほとんどひねっていません。ミステリー的な楽しみは乏しくなっていますが、代理出産というテーマの重さを読者に投げかけるには、あまりひねらない方がいいのかもしれません。

わたしのように序盤で事件の全貌がつかめてしまうと、ミステリーというよりも代理出産をめぐる人間ドラマとして読むことになりますが、そこからがこの作品の本領発揮となります。
性同一性障害という代理出産と同じく身近ではない重いテーマを扱った前作『Rommy』では、読者をテーマに引き込み登場人物に感情移入させる演出が物足りませんでした。その演出が『ブードゥー・チャイルド』では念入りです。試験管ベイビーであり障害を持つ天才少年を探偵役とし、彼を通して読者に十分に情報(人工的に産み出された者の心情を含めて)が与えられます。また、代理出産に踏み切った主人公の両親や、代理出産を受け入れない祖父母らの描写も効果的。読者はこれらを通して自ずと代理出産に思いをめぐらせてしまいます。

前述のようにオチが見えていたので衝撃とかグッとくるものはありませんでしたが、読了後の手ごたえは十分でした。
voodoochild.jpg
  1. 2006-04-30 07:12:04
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