ぶっき Library... いま、会いにゆきます (市川拓司)

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いま、会いにゆきます (市川拓司)

以前に読んだ『恋愛寫眞』(別掲)で、スタイルが好みから外れているように感じたので、その後敬遠してました。しかし、『いま、会いにゆきます』のあまりの人気の高さにフラフラッと。「またけなすことになるんだろうなぁ~」と思いつつ読み始めましたが・・・意外や意外、なかなか楽しめました。
何が違ったの?

『恋愛寫眞』への不満は別掲の通りですが、要約すると、描写は良かったけど、あまりにも雰囲気重視に傾斜していて、作り込みが甘過ぎ。
『いま、会いにゆきます』はどうかと言うと、精緻に作り込まれていて説得力抜群、などということはまったく無くて、むしろ『恋愛寫眞』以上に雰囲気に流れている。『恋愛寫眞』はまだしもラヴシーンとか女の子の描写に生々しさがあったけど、『いま、会いにゆきます』はそれすらも無くて、さらに甘口。
でも、そこが良かった!『恋愛寫眞』には半端に生々しさがあったから、こちらもつられてリアリティを求めてしまった。その点『いま、会いにゆきます』は終始作り物めいているので、はなからリアリティとか説得力なんか期待しないから、“おとぎ話”と割り切って、それに合わせたモードで読めます。要するに、テーマとか作品世界とかキャラとかが同じトーンで一貫しているので、好き嫌いは別にして、その世界にスーッと入っていけました。

目頭が熱くなることは無かったし(ヒロインに恋できないと泣けないので)、虚弱な主人公はウザかったし、特定の言葉(「そうなの?」とか「すばらしい」など)の反復は興が醒めたし(リズムを出すためとしても、あまりにもベタ)、いくらなんでももう少し捻って欲しかったけど、この世界に入り込むことは存外気持ちよかったし、タイトルの「いま、会いにゆきます」が本編中に出て来たときは、「おお、そう来たか!」と意味も無く感心してしまいました(忘れた頃に出て来たからかも・・・)。

テクニックの冴えは感じなかったけど、独自の空気が作れる点と、作者の感情移入が文面から伝わってくる点が、この作家のいいところかな?
imaainiyukimasu.jpg
  1. 2006-04-30 06:21:39
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