ぶっき Library... 秋期限定栗きんとん事件 (米澤穂信)

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秋期限定栗きんとん事件 (米澤穂信)

小市民シリーズの第3弾は、上下の2分冊。

このシリーズは、青春小説として人間模様を描く面と、ライトだけどそこそこ本格的なミステリーの面があると思う。

これの両立は難しいと思う。
というのは、ミステリー色を強めていくと、読者との駆け引き故に、登場人物の描写は抑制的になってしまうから。人間模様の描かれ方としては薄くなってしまいがち。
『秋期限定栗きんとん事件』は、わりと地で行っているかも。

事件の解決が、小鳩と小佐内の和解とか、「小市民」的でない自分たちを受け入れるとかにつながる展開はよく考えられていると思う。前作と同じパターンではあるけれど。
しかし、人間模様を楽しむには描かれ方が薄いので、読んでいて入り込めない。

上に書いた理由がなくても、そもそも人間描写が弱いのかもしれない。小鳩と小佐内がそれぞれ別の異性と交際するあたり、単に型どおり進行していくだけ。紋切り調で味気ない。
少なくとも小鳩の交際の方は、ミステリーの展開に関わっていないから、小説的にもっとおもしろくできるはずだと思うのだけど。

また、このシリーズにおける「小市民」の定義があいまいになりつつあるように感じる。クラスという集団に埋没することが「小市民」的であるというのは分かるけれど、たとえばクラスメートの顔と名前を覚えないことが「小市民」的なのだろうか?

もともと、二人が「小市民」でありたいと望む動機の描かれ方は弱かった。そのうえに、「小市民」の定義がグダグダになってきた感じ。





  1. 2012-12-30 20:06:11
  2.  米澤穂信
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