ぶっき Library... 日曜日たち (吉田修一)

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

日曜日たち (吉田修一)

この人の本を読むのは、『パークライフ』『東京湾景』に続いて3冊目。

どれも、繊細な演出と簡潔で乾いた語り口が共通していて、似た空気を放っているけど、作者のスタンスが少しずつ違う。
芥川賞受賞作『パークライフ』は純文学風に寸止めの美学(?)。『東京湾景』は対照的にベタなメロドラマ。
さて『日曜日たち』は?

『日曜日たち』には、“日曜日”という単語で始まるタイトルの、5つの短篇が収録されている。ただし、“日曜日”に深い意味は無さそう。
各編の主人公は、生き方が定まらない20代~30代半ばの男女。作者は、日常生活の中で通り過ぎていく感覚とか感情を乾いたタッチで簡潔に描写し、それによって内面を映し出す。

変則的な連作短編集になっていて、各編は独立した別個の物語だけど、脇役として幼い兄弟がちらちらと登場する。
各編は時系列になっていて、読み進むにつれてこの兄弟の存在感が増していく。この巧妙な演出が、一冊の本としての読み応えをグンと押し上げている。うまい。

頭の2編『日曜日のエレベーター』『日曜日の被害者たち』は、純文学風というのではないけれど、微妙かつ繊細な演出で、ピントを合わせずらい。一読して「あれ!?」で、パラパラとページをめくりながら反芻するうちに「あ、こういう気分を演出しているのか」と得心。得心できると感心に移行。
この2編を読み終えたところで「面倒くさい読書になるかな?」と不安が頭をもたげるも、残る3編は分かりやすい。むしろベタなくらい。でも、繊細で品のある文章が、安っぽくしない。前述の連作の仕掛けもあって、満足のうちに読了。

よく言えば繊細、悪く言えばひ弱な作品世界だけど、センスの良さは争えない。
nitiyobitati.jpg
Amazon.co.jp
オンライン書店ビーケーワン

  1. 2006-10-15 13:38:20
  2.  吉田修一
  3.  |
  4.  Trackback(1)
  5.  Comment(0)
  6.   Top ▲ Home

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

   

コメント

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://notaro.blog64.fc2.com/tb.php/318-44679cd6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

◎「日曜日たち」 吉田修一 講談社 1365円 2003/8
『日曜日たち』、この複数形の題名が評者の好みである。"空(そら)"とか"水"というただ空や水だけを指す言葉も、"空たち""水たち"という複数形の表現にするだけで、一気に多面性、存在性を帯びてくる。"空"というと、た
  1. 「本のことども」by聖月    
  2. 2006-10-15 16:02:25  

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。