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リレキショ (中村航)

わたしにとっての初中村航作品。文藝賞受賞作品。ということは、純文学寄り、という整理か?
文藝賞のイメージに相応しく、中味も気分も若々しいけど、作者はわたしと同じ60年代生まれ。といっても69年だけど・・・

一読して「ハァ?」な作品。ストーリーを追いかけていっても、どこかにたどり着けた気がしない。
村上春樹風のメタファー小説かというと、気分的には通じるものがあるけれど、ちょっと違う。

ストーリーの剪定が独特というか極端。「僕」の内面が焦点で、事の次第の伝わりやすさを優先するなら、①かつての「僕」、②「姉」との出会い、③現在の「僕」、の3点に触れるべきところを、『リレキショ』では実質的に③のみですべてが語られる。
具体的には、“半沢良”に変身した後の「僕」のみが語られて、変身の詳しい経緯やそれ以前については、一瞬ほのめかされる程度。
ストーリーの牽引力を放棄し、表現力で勝負。作者としてはひとつのチャレンジであり自己主張なのだろう。

こういう演出法では、いかに現在の「僕」をヴィヴィッド(vivid)に描けるかがポイント、だと思うけれど、登場人物たちのキャラにも、彼らが語る事々にも触発されなかった。

過去のほぼすべてをリセットし、自分の意志で“なりたい自分”として、あるいはそれに向かって生き始めた主人公が肯定的に描かれていて、だから構想においてはなかなか前向きな小説なのだろう。でも、見る角度によっては登場人物たちの生き方や言動は逃避的、閉鎖的、防衛的。
この作品だけでは、煮詰めが足りないのか、独特すぎるのか、単にしょうもないだけなのか、断定できない。

作中のセリフを借りると、閉じているとしか言いようのない中村航ワールドだけど、それを誰かと分かち合うために、一生懸命言葉を紡いでいるのがこの作品、というところか。

語り口に独特の雰囲気があって、焼き直し感は強いけれど(ハルキチルドレン系?)、こういうのが好きな人は、言わんとするところがつかめなくても、別の楽しみ方を見出せるかも。
rirekisho.jpg
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  1. 2006-10-11 01:16:42
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miyukichiさん、こんにちは
そうですね、わたしも踏み出しかけているように読めました。ただ、わたしの価値観からすると、囲いから踏み出すための一歩とは感じられなくて、囲いの中での一歩としか映らなかった、ということです。
ひょっとしたら価値ある一歩なのかもしれないけれど・・・
  1. ひねもじら 乃太朗  
  2.  
  3. 2007-02-19 20:46:10 
  4. #mQop/nM. 
  5. [ 編集]
 こんばんは♪
 TBどうもありがとうございました。
 よろしくお願いします。

 私は、逃避的・閉鎖的なところから、
 一歩踏み出しかけてるように思えました。
  1. miyukichi  
  2.  
  3. 2007-02-15 20:43:25 
  4. #ubwH2qN2 
  5. [ 編集]
ひまわりさん、コメントありがとうございます。
おお、3部作なのですか。そのこと自体を分かっていませんでした。続きを読めば、少しは見通しがよくなるのかな?しかし、ひまわりさんのコメントだと、微妙ですね。せっかくだから、読んでみたいと思います。
  1. ひねもじら 乃太朗  
  2.  
  3. 2006-10-13 21:25:04 
  4. #mQop/nM. 
  5. [ 編集]
始まりの3部作
3部作と言いつつ、どう関連性があるのか今ひとつわかりませんでしたが、「リレキショ」はこの中ではまぁまぁ好きなお話でした。
私にとっては「ぐるぐるまわるすべり台」がはぁ?という作品で、終わりの話にしか思えなかったんですけれど。
最近ニートの本を読んでいて(著者は年上だけれど)20代にはこういう感覚でいつか始まることを夢を見続けているのかなぁとちょっと考えさせられました。
  1. ひまわり  
  2.  
  3. 2006-10-12 17:46:55 
  4. #mQop/nM. 
  5. [ 編集]

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