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ニッポニアニッポン (阿部和重)

阿部和重の本はこれで7冊目。わたしの場合、採り上げる冊数が多いほど気に入っている、あるいは高く評価している、とは限らない。愛着から次々と手に取ることもあれば、その作家がどこに向かおうとしているのか、どんな志向の作家なのか、という好奇心から手に採ることもある。

阿部和重は比較的好きなタイプの作家で、ご本人の気性は知らないけれど、作風としての対象との距離のとり方、突き放したスタンスが思いのほかしっくりくる。
この本の前に、島本理生の『ナラタージュ』に着手したのだけど、湿度の高さと思い込みの強さにたじろいで中断。『ニッポニアニッポン』の乾いた世界で一息つけた。
自覚している以上に相性がいいのかもしれない。


ただし、この作家にはここ何作か失望させられている。
阿部和重は、たぶん1997年の『公爵夫人邸の午後のパーティ』『ヴェロニカ・ハートの幻影』あたりまでは、技巧的な冒険というか遊戯に前のめりだった。それが、1999年の『無情の世界』(『トライアングルズ』『無情の世界』『鏖(みなごろし)』)あたりから、保守的なスタイルに方向転換した。で、想像するに、本人は構造とは別の分野で冒険なり遊戯に勤しんでいるのだろうけれど、地味な作者の独り遊びの域を出ていない、と感じられる。まあ、わたしが理解ないしは感じ取れていないだけかもしれないけど・・・


能書が長くなったけど、わたしの理屈でいくと、2001年に発表された本書『ニッポニアニッポン』も保守傾向の作品、ということになる。

最初に主人公の歪んだ現在が提示され、進行につれて過去と未来が形を結んでいく。過去がとある女性との因縁、未来が朱鷺(トキ)を解放するという一種の冒険。シンプルで、ほどよく読み手をじらすので、入り口でひきこもり&ストーカーの主人公に拒否反応が出なければ、スムーズに読み進めるはず。謎めいた少女というこの作家にしては爽やかな彩(いろどり)や、主人公のキャラいじりなんかも読みやすさに貢献。

というわけで、読みやすいし、楽しめる。でも、エンタメ小説としての愉悦はほどほど。たとえば前述の少女の使い方なんて、ちょっと芸が無い感じ。
では、エンタメ小説とは違う読み方をさせる何かがこの作品にあるだろうか?たぶん無い。だから、そこそこ面白いエンタメ小説、というのが妥当なポジションかな?
nipponianippon.jpg
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  1. 2006-10-03 19:00:58
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ニッポニアニッポン
ニッポニアニッポン 阿部和重著鴇谷春生は、名前に『鴇』と字が入っていることから、鴇へのシンパシーを感じていた。春生が考える鴇の不遇と、郷里を追われる事になった自分の境遇とを重ね合わせ、より一層鴇への思い
  1. slow match    
  2. 2007-07-20 00:00:01  
阿部和重【ニッポニアニッポン】
「ニッポニアニッポン」とは、特別天然記念物のトキという鳥の名前なんだけど。すごい名前だよね。だいたい「ニッポニア」とは、なに語であろうか。このニッポニアニッポンに興味を持った、ひきこもりの男
  1. ぱんどら日記    
  2. 2006-10-04 11:10:50  
阿部和重のことども
  ○ 『アメリカの夜』  ◎ 『ABC戦争』  ○ 『インディヴィジュアル・プロジェクション』◎◎ 『公爵夫人邸の午後のパーティー』◎◎ 『無情の世界』  ◎ 『ニッポニアニッポン』◎◎ 『シンセミア』  ▲ 『グランド・フィナーレ』  ◎ 『プラスティック
  1. 「本のことども」by聖月    
  2. 2006-10-04 07:40:43  
◎「ニッポニアニッポン」 阿部和重 新潮文庫 380円 2004/7
 一言で言うなら、お買い得文庫本でしょう。芥川賞受賞作家の入門編としても読みやすいし、わかりやすい小説なので。しかし、そこのところが自分としては物足りなかった評者なのである。これまで読んできた中では、一番粗筋的なものがハッキリしているし、芥川賞的な優等生
  1. 「本のことども」by聖月    
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