ぶっき Library... サウスバウンド (奥田英朗)

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サウスバウンド (奥田英朗)

奥田作品は『最悪』『空中ブランコ』に続いて3作目になります。3作品も読めばある程度自分の中で作家像が固まってくるのですが、たまたま読んだ本の組み合わせがよくないのか、まだつかみきれません。

直木賞を受賞した『空中ブランコ』は、「あ~、うまいなぁ」と感じつつも、良くも悪くも、いかにも元雑誌編集者&元プランナー&元コピーライターが書いた小説って感じで、手際はいいけど小手先な感じがして、個人的には毒にも薬にもならない、って作品でした。

幸い、受賞後第一作の『サウスバウンド』にはそんな感じはないです。パワフルで、刺激的で、腹を割ったような面白さ。キャラクターの魅力的なデザインと、そんなキャラたちが織り成す人間関係の面白さでぐいぐいとページをめくらせる、という正攻法の面白さなんで、「お見事です!」と拍手を送るしかないです。長い作品だけど一気に読まされたし、読んでて素直に笑えたり、喜べたり、興奮したり、しんみりしたりできました。

(以下、ざっくりとネタバレ)
主人公は小学6年生の少年で、彼の視点から、型破りな父親の生き様が描かれます。
東京編というべき第一部と、西表島編というべき第二部の二部構成なんですけど、構成としてはちょっと冗漫です。
というか、父親中心に読むと、それなりにまとまっていて、第一部では都市生活に馴染めないですぶっていた彼が、第二部では故郷に帰ってパワー全開!という流れになります。

ところが、主人公の少年中心に読むと、第一部に登場した彼の魅力的な友人たちが放置されている感じ。わたしはてっきり、第二部では、彼らが夏休みか何かを利用して西表島にやってきて、第二部からの登場人物たちと入り乱れて、はじけた大団円になだれ込むに違いない、と期待しながら読んでいたので、終盤はややがっかり。
魅力的な第一部のキャラたちに再登場して欲しかったし、ストーリー展開としても、彼らが西表島に来てどう変わるのか、あるいは彼らを迎えた主人公が東京での生活をどう清算するのか、みたいなところを描いてくれたら、一層奥行きが出たと思うのだけど。なんだったら、続編でもいいです(笑)

後半に当たる第二部での父親の生き様は、なんらかのメッセージを読み取ることは可能だけど、演出としてはキャラ設定の範囲に収めていて、だから単なる強烈なキャラとしてあっけらかんと楽しめます。おしつけがましさがなくて、この作家のエンターティナーとしての優れたバランス感覚を感じます。
southbound.jpg
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オンライン書店ビーケーワン

  1. 2006-09-28 20:19:29
  2.  奥田英朗
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コメント

すのさん、こんにちは
無言TB(?)にコメントまでいただき恐縮です。エッセイや短編をあまり読んでいませんが、長編は得意な作家ですよね。『最悪』も読み応えありました。
  1. ひねもじら 乃太朗  
  2.  
  3. 2006-09-29 09:28:19 
  4. #mQop/nM. 
  5. [ 編集]
この作家の魅力は
長編だと思っています。直木賞の伊良部のシリーズは確かに短編です。しかし「邪魔」「最悪」、そしてこの「サウスバウンド」と、やっぱりこの人は長編がうまいし、好きだなぁ、と思っています。
エッセイや、短編は、どうもハズレが多いような気がします。
  1. すの  
  2.  
  3. 2006-09-28 22:34:16 
  4. #- 
  5. [ 編集]

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