5編からなる連作短編集。過去の作品で披露されたファンタジックな味付けや華麗なストーリーテリングは抑え目で、日常的描写を通して人間に焦点を当てた、口当たりの良い軽めのドラマ。
突き詰めて読むと、少年事件を担当する家裁調査官を描きながら少年犯罪には踏み込まなかったり、視覚障害者を描きながらその生活のマイナスの部分に立ち入らなかったり、主要人物が抱える父親との確執が表面的にしか描かれていなかったりと、題材の料理の仕方が浅薄だけど、軽い読み物として割り切れれば、相応に楽しめます。キャラは分かりやすいし、控えめながら読み手の気を逸らさない演出は巧み。
特に最終話『イン』での読者に視覚障害者の感覚を疑似体験させる演出には旨味を感じました。
ただ、1編目の『バンク』に限っては、語り手の軽薄なおしゃべりといい、主要人物の一人である陣内の道化じみた言動といい、ベタで陳腐に感じられました。

- 2006-04-30 00:46:51
- 伊坂幸太郎
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チルドレン 伊坂幸太郎著『バンク/チルドレン/レトリバー/チルドレン?/イン』の五編からなる連作短編集。一見荒唐無稽でありながら「あいつは、あぁだから…」という具合に周囲...
- slow match
- 2007-11-18 22:59:58
伊坂幸太郎『チルドレン』を読んだ。 単行本出版時、直木賞候補になった作品だ。結局獲ったのは奥田英朗『空中ブランコ』と熊谷達也『邂逅の森』だった。以後、同賞の常連候補になるも、いまだ受賞はしていない。ちなみに、本屋大賞では5位という微妙な位置にランクインして
- 書評風 - 読んだら軒並みブックレビュー
- 2007-06-01 02:00:19