ぶっき Library... 遮断 (古処誠二)

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

遮断 (古処誠二)

第135回直木賞ノミネート作品(受賞は逃しました)。評価が高いようなのと、ノミネート作品中これだけが図書館の予約待ち不要だったのとで(ということは不人気作家か???)、さっそく借り出しました。さっそく、といっても、既に直木賞の授賞は発表されましたが・・・


特別養護老人ホームで孤独に死を迎えんとする男が、一通の手紙を手に、昭和20年、第二次大戦末期、沖縄防衛戦での極限状況を回想します。

手紙の一文一文とエピソードを交互に読ませるとか、ストーリーが二重に捻られているとか、なかなか演出巧者ですが、文体のタッチのせいか、ぶっきらぼうな印象を受けます。無造作というのではなくて、飾らず、煽らず、無駄口を叩かない。それが、作品の中味とぴったり調和しています。


今、こんな風にリアルに戦渦の人間が描かれた小説をどう読めばいいのだろう? 自分は現実の戦争を経験していないが、両親は幼少の頃にそれを体験している。そして今、北朝鮮がミサイルを飛ばし、国の偉い人たちは「敵基地攻撃論」を口にしている。戦争とは、遠いような、近いような、距離を測りにくい対象。だから、この本に対して、訳知り顔に戦争の怖さに同意することも、小説の状況設定と割り切ることも出来ない。

でも、この小説にあるような極限状況は、意外と身近にあるのかもしれない。学業の振るわない息子に父親が拳で制裁を加え、その息子は家族を焼殺して逃亡する。この小説に描かれている出来事にとても近い。

遠い過去の出来事として、あるいは起こるかもしれない未来として、ではなく、現実として、現実に引き寄せて読んでしまいました。そのように読むことは可能だし、だから戦争に興味が無い人にも読む価値はある、と思います。たぶん作者にもそういう意識はあって、富士山のたとえ話なんかは、今を生きる日本の読者に対するメッセージとも読めます。


ぶっきらぼうな文体は、あるいはとっつきにくい雰囲気を出しているのかもしれない。ストーリーは捻られているけれど、渋くて地味な展開。単なる娯楽として読むには、ちと重いかも・・・でも長編としては薄いし、キビキビと進行するので、もたれる重さではありません。
shadan.jpg
Amazon.co.jp
オンライン書店ビーケーワン

  1. 2006-07-19 17:39:25
  2.  その他の作家
  3.  |
  4.  Trackback(6)
  5.  Comment(1)
  6.   Top ▲ Home

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

   

コメント

現実に引き寄せて読むって、考えもしませんでした。なるほど・・。
富士山のたとえは、うまいなぁと思います。この感覚はすごくわかりやすかったです。

ぶっきらぼうな文体は、無駄をそぎおとした内容ともあっていて、よかったと思います。
  1. june  
  2.  
  3. 2006-07-22 15:56:51 
  4. #- 
  5. [ 編集]

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://notaro.blog64.fc2.com/tb.php/276-da068c1d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「遮断」古処誠二
タイトル:遮断著者  :古処誠二出版社 :新潮社読書期間:2006/07/12 - 2006/07/13お勧め度:★★★[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]昭和20年5月、沖縄。防衛隊から逃亡した真市は、戦友の妻で、幼なじみのチヨと再会する。行方不明だというチヨの子どもを探しに部落へ
  1. AOCHAN-Blog    
  2. 2006-07-25 21:08:56  
「遮断」古処誠二
遮断直木賞候補ということで、図書館で探したら普通に書架にありました。候補になるずっと前に予約を入れた「風に舞い上がるビニールシート」はまだ回ってこないというのに・・。なじみのない沖縄戦が舞台なのに、まとわりつく雨に降り込められた戦時中の沖縄の世界に....
  1. 本のある生活    
  2. 2006-07-22 15:53:43  
古処誠二【遮断】
お恥ずかしいことに、私は著者名の読み方がわからず、図書館で50音順に並んだ書棚の前を何度も行ったり来たりして、「こ」で探すべきか、「ふ」で探すべきか……と考えていたのだった。「こどころせいじ」さんである。た
  1. ぱんどら日記    
  2. 2006-07-20 12:50:32  
古処誠二(大戦末期物)のことども
◎◎ 『ルール』  △ 『分岐点』  ◎ 『接近』  ◎ 『七月七日』◎◎ 『遮断』※おまけ※参考のため読みました。◎◎ 『菊と刀』 ルース・ベネディクト
  1. 「本のことども」by聖月    
  2. 2006-07-19 21:18:35  
◎◎「遮断」 古処誠二 新潮社 1470円 2005/12
 今朝の讀賣新聞朝刊の“人生案内”が非常に印象に残った評者である。評者は、毎朝、新聞の全ての面を開いて眺めるが、そんなにつぶさに記事を読むわけではない。ただし、植田まさしの漫画“こぼちゃん”を読む確率よりは、人生相談コーナーといえる“人生案内”を読む確率
  1. 「本のことども」by聖月    
  2. 2006-07-19 21:17:51  
(書評)遮断
著者:古処誠二 癌で余命幾ばくも無い老人・真市。その真市のところへ、一通の手紙が
  1. たこの感想文    
  2. 2006-07-19 19:45:52  

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。