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ジェシカが駆け抜けた七年間について (歌野晶午)

女子マラソンの世界を舞台にしたミステリー。

この作家は変則的な語り口で読者と駆け引きするスタイルを好みます。この作品もその1つ。変則的であるがゆえにリスクがあります。はずすとダメージが大きくなります。
『ジェシカが駆け抜けた七年間について』は、好評を博した『葉桜の季節に君を想うということ』と似通ったパターンを採っていますが、残念ながら精彩を欠いています。

叙述トリックを用いているのは良しとしても(個人的には好きではないけど)、犯罪やトリックが単純すぎて拍子抜けしました。「えっ!これで終わり!?」というのが後味でした。ジェシカを初めとした女子マラソン界の内情は印象的に描かれているので、なおさら謎解き部分の薄さが目につきました。女子マラソン界の内情に触れていると言っても、叙述トリックという手法を使っている以上、謎解き部分の薄さがそのまま読み応えに直結してしまいます。謎解きの枠組みが優先されているので、感動的なヒューマン・ドラマにもなりきれてない。「謎解きはイマイチだったけど、女子マラソンの描写はよかったね」というほどではありません。

また、わら人形もどきの場面や2つめの章全体から受けるハラダアユミの印象は「何を考えているか分からない変な女」なので、ジェシカがハラダアユミに寄せる思いに同調しにくかったです。これも感動的なヒューマン・ドラマにもなりきれなかった一因だと思います。
jecikaxkakenukata7nen.jpg
  1. 2006-04-30 07:13:50
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