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マシアス・ギリの失脚 (池澤夏樹)

豊穣な想像力と物語る力に圧倒され、感銘しました。
知性と感性、壮大と繊細、空想とリアリティ、構造と情感、品格と遊び心。こういった両立させがたい要素が高いレベルで調和・均衡しています。

日本かぶれの南の島国の大統領マシアス・ギリという人物の生き様を通して形而下形而上ひっくるめての壮大な世界観が語られています。と言っても至って分かりやすい世界観で、それを礎としてトロピカルな洋上の島国(架空の国)を舞台に知的でユーモラスで情感豊かなファンタジーが展開されます。

この作品の見どころは、二度にわたるマシアス・ギリの帰郷の場面。一度目が中盤のクライマックスで、二度目が終盤のクライマックス。
中盤のクライマックスでの祭りの描写は秀逸。幻想的に描き出される神事と、意識下で揺れ動きながら祭りの経過を夢中で追いかけるマシアス・ギリ。夢幻的で静謐なる高揚。その先に浮かび上がる世界の成り立ち。
そして終盤のクライマックスではマシアス・ギリの物語が結末すると同時に作品の世界観が完成されます。穏やかな、しかし圧倒的な終末。

珊瑚礁に囲まれた島々の情景描写が鮮やかです。

大変分厚くて活字密度の高い作品です。難解ではありません、というかむしろ平明であることが心がけられていますが、作者が多くのモノを濃く深く注ぎ込んでいるだけに読者を選ぶ作品ではあろうと思います。

この作品を受け止めるには、多少の忍耐と、日常を脇に置いて物語に没入できるゆとりと、すべての営みが人の価値判断を超えた大きな流れの中にある、という考え方感じ方に感応できるタイプの感受性が必須かと。
masiasugirixsikkyaku.jpg
  1. 2006-04-30 00:44:05
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池澤夏樹『マシアス・ギリの失脚』
この作家も作家として追いかけて読んでいる作家。この作品は現実の骨組みを背景に利用はしているが、架空の世界で物語を語ることで、かえってリアルさを描き、それでいて神話を追体験するような感情移入を感じさせてくれる、一貫して静謐で不思議な力強さに満ちた作品。山田
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