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歯車 (芥川龍之介)

芥川龍之介は、身内に猛獣を囲っていたようです。それは創作力の後押しになったかもしれないけれど、その一方で絶え間なく苛んだようです。35歳にして自ら命を絶ったのもその流れでしょうか?

「人生は地獄よりも地獄的である」(『侏儒の言葉』)と言い切った彼は、しかしその苦痛を生々しく作品ににじませることをしていません。
たとえば、現代の若手作家金原ひとみも身内に猛獣を囲う一人ですが、この人は翻弄される自分、足掻く自分を作品の上にさらけ出せして見せます。まったく飼いならせていない状況を、そのまま商売のネタにしています。
芥川龍之介は、おそらく発達しすぎた知性や美意識ゆえに、醜さを醜いままに、愚かさを愚かしく露出することを徹底的に忌避しています。そうすることが新たな苦痛の火種になっていたかもしれませんが。

生き様を回顧した『或阿呆の一生』の序文で、彼は「僕はこの原稿の中では少くとも意識的には自己弁護をしなかつたつもりだ。」と断っています。確かに自己弁護は無いかもしれないけど、内奥をさらけ出す率直さは微塵もありません。極限に追い込まれてもなおカッコつけずにはいられない、ポーズをとらずにはいられない。美学なのか、業なのか?

遺作の1つである『歯車』は、おそらく数ある芥川作品の中でも最も陰鬱な作品で、おそらく彼なりに精一杯生々しくさらけ出そうとした作品で、それゆえに既読芥川作品(せいぜい2割程度)中最も近しく感じられます。
主人公を苛む幻視と絶え間ない死への連想。ついに狂おしい連想は語り手の頭をはみ出してしまう。
『歯車』は芥川龍之介を見舞った地獄の、ささやかなドキュメントではないでしょうか。

自殺者の心理を十把一絡げに語ることはできませんが、彼の自殺を芸術的な、あるいは思想的な破局として説明したがる人は、たぶん根っこのところで人の心とか小説を分かっていない、と思います。
え、誰に向かって言ってるかって?まあいいじゃないですか(笑)
haguruma.jpg
  1. 2006-06-03 06:52:02
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