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プラスティック・ソウル (阿部和重)

『グランド・フィナーレ』が「?」だったこともあって、阿部和重の最新刊を手に取ってみました。久しぶりに不条理系に回帰か?と思ったら、執筆されたのは『ニッポニアニッポン』の前とのこと。だから以前のスタイルだったみたい。それでもって、作者自身が出版を渋っていたらしい。
そのあたりの経緯が巻末の解説で説明されていて、ついでに阿部和重の小説観の変化なんかがわかって興味深いのだけど、対談(これも解説の一部)の中で作者本人が『プラスティック・ソウル』に気持ちが乗っていないことを告白しているので、作品の印象はネガティブ方向に引っ張られがち。

小説の型を意図的に壊していくタイプの作品では、壊し方そのものはそんなに重要ではなくて、というかただ壊すだけだったらヘタクソと何も変わらなくて、小説の型を壊すことは小説というジャンルと知的に戯れることであって、壊し方を通して見えてくる知的な企みとか大胆な発想がお楽しみのポイント。
この種の面白さは『ABC戦争』を初めとした最初期の作品にこそ色濃くて、世評の高い『インディヴィジュアル・プロジェクション』あたりになるとかなり手堅い。そのぶん安定感とかオーソドックスな意味での読み応えは増すけれど。
このタイプの小説としては現時点で最後期の作品となる『プラスティック・ソウル』もそれほどハメをはずしていなくて、というか『インディヴィジュアル・プロジェクション』よりさらに大人しめ。小説としてつまらなくはないし、平凡でもないけれど、壊すことの愉悦も、何をやらかすか分からない緊張感も、あまり感じない。濃い文体で書かれた変な小説、というところか。

三人称語りと一人称語りが前触れ無く入れ替わる。章を隔てての入れ替わりならありがちだけど、ここでは単一の段落の中で節操無く切り替わる。しかも一人称で語る人物は二人。最初はちょっと変な感じがするけれど、実は読みやすくて、すぐに慣れた。読みやすいのはいいのだけど、それだけインパクトは控え目。
ただし、この節操のない視点の切り替えや行きつ戻りつする進行が、主人公の場当たり的なキャラクターと同調しているように感じられて、それも狙いのうちだとしたら、上手いかも。それくらいかな?
plasticsoul.jpg
  1. 2006-05-10 16:44:59
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プラスティック・ソウル
プラスティック・ソウル 阿部和重著 これはなんだか良い予感がするぞ、と思っても当たったり外れたりするのだけれど、これは私としては楽...
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  2. 2008-03-23 01:50:45  

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