ぶっき Library... ロリータ (ウラジーミル・ナボコフ)

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

ロリータ (ウラジーミル・ナボコフ)

ナボコフの代表作とされる怪物的作品。

“ロリータ”の語源はこの作品らしいです。この作品の刊行は1955年なので、この言葉の歴史も50年少々。
主人公=語り手はロリコンで(対象は小学6年生くらいの女の子)、孤児となった女の子を毒牙にかけてしまいますが、エロ小説ではなくて、バリバリの文学作品です。エロイ描写自体ほとんどないし。欲情目的でこの本を開くとガッカリします(笑)

読むのは2回目。初読は新潮文庫の大久保訳でした。再読の機会をうかがっていたところ、たまたま新訳(若島訳)が出たという情報をつかんだので、手に取りました。わたしは翻訳の良し悪しにこだわる繊細な読者ではありませんが・・・

この作品には3つの軸がある、と思います。

その1、フェチ的な偏愛と精神的な恍惚の言語表現。
対象は少女の肉体であったり仕草であったりですが、文学的なコミットメントが感じられて、その描写には詩的な薫りが立ち込めています。わたしはロリコンではありませんが、美的愉悦に溺れる感覚には共鳴できます。

その2、欲望が愛情へと変化していくプロセスと激しい葛藤。
王道の心理描写。変態小説(?)かと思わせながら実存の悲劇へと深化していきます。でも、こう展開させるのなら、蜜月期間にあった悲劇の予兆や慄きを後付で語らないで、伏線として仕込んで欲しい。

その3、型破りな文体。言語実験。
これが曲者です。全編に直感的な言い回しや言葉遊びが散りばめられています。難解というのではないけど、付き合うには多少の根気が求められます、たぶん。
しかし、ポイントになるのは中身との調和。調和がなければ単なるお遊びに堕してしまいます。この点はかなり微妙。今回読んだ若島訳本では、文体に硬さがあって、これが上述のその1、その2と協調し切れていないように感じられます。果たして原文はどうなのか・・・
これだけ文体が型破りだと、翻訳のせいなのか、原文がそうなっているのか、判断しかねるところです。

巻末にナボコフ本人による読み方のガイドが付いているので、読み外す心配はありません。なかなか良心的(笑)

ちなみに2度映画化されているようです。

《翻訳について》
若島訳は原文のテイストにこだわっているとの触れ込みですが、文章のテイストを決めるのは翻訳のアプローチより言葉への感性だと思うので、あんまり真に受けていません。いずれにしても、それを判断できる英語力はないですし・・・。
ただ、本作りのスタンスには好感できません。簡単に言ってしまうと、ナボコフの研究者が、研究成果を誇示するために、一部の専門家並びにそれに準ずる読者のみを意識して作った本、という印象。一般読者への読みやすさの配慮が乏しくて、あとがきはもっぱら大久保訳への対抗意識。読者層が限定される本とは思いますが・・・
lolita.jpg
  1. 2006-05-03 11:14:49
  2.  海外の作家
  3.  |
  4.  Trackback(0)
  5.  Comment(0)
  6.   Top ▲ Home

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

   

コメント

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://notaro.blog64.fc2.com/tb.php/235-3d3ef2c4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。