ぶっき Library... 老人と海 (アーネスト・ヘミングウェイ)

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老人と海 (アーネスト・ヘミングウェイ)

この素っ気無いタイトルからは、海釣り好きの老人が登場する渋い小説を想像してしまうかも(このタイトルは直訳)。海が舞台で、主人公が老人であることは間違いないけれど、中身はかなりカッコイイです!しかも、今回読んで感じたのは、思っていた以上に深いということ。

読むのはこれが3回目。過去2回は10代のときで、いずれの回も、切り詰められたハードボイルドな文体から繰り出される、男の誇りとか闘志みたいなものに圧倒されました。
あの感銘に近いのは『あしたのジョー』かな?

感激の再燃を期待して久しぶりに手に取りましたが、意外にも、作品の印象はガラリと変わりました。作品が変わるわけ無いから、変わったのはもちろんわたし。思いがけず、この小説に20年の時の流れを突きつけられました。わたしの立ち位置が変わっていました。

しょっぱかった!
この作品では、男の誇りを賭した生き方の「雄々しさ」と「虚しさ」が背中合わせに描かれています。両者は完全にバランスしていて、作者による誘導めいた気配がないので、読み手の心の状態がそのまま作品に投影されることになります。
10代のわたしに、この「虚しさ」は主人公の誇りとか闘志を際立たせる卓抜な演出として映りました。しかし、今回再読して・・・ヘミングウェイが「虚しさ」をこんなにも濃やかに描いていたとは!意地&名誉の代償と切って捨てるには、あまりにも大きな孤独と空虚。この物語に込められたヘミングウェイの人生観は・・・?

『老人と海』は、男性読者にとっては、心を映し出す鏡のような小説かも。女性読者にとっては???

ちなみに、これの発表から9年後に作者が自殺を遂げたとしたら(公式発表は銃の暴発による事故死だが、一般に自殺と看做されているみたい)、ある程度しょっぱく読む方が正解なのかもしれません。ただ、そういう事情を抜きにして、作品だけから受ける印象では、前述のようにニュートラル(相対する価値が、作者による評価を加えられず、等価で並置されている)と感じられます。

わたしにとっては小説のお手本のような作品です(といっても、わたしは創作しませんが・・・)。シンプルなストーリー+必要最小限の登場人物+引き締まった文章、というギリシャ彫刻のような造形。しかも、ドラマとしてリアリティがあって、臨場感たっぷり。とどめは、読み手の心を映し出す透徹した演出。

長い小説ではないし(長編というより中編小説)、読みやすいです。ただし、新潮文庫版の福田訳は、セリフの言い回しがダサいし、原作の厳しさがスポイルされているような・・・『老人と海』というより『お爺さんと海』みたいな・・・
rojinumi.jpg
  1. 2006-05-03 11:14:00
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