ぶっき Library... ムーン・パレス (ポール・オースター)

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ムーン・パレス (ポール・オースター)

初期作品であるニューヨーク三部作だけではオースターを判断できないかも、と思って念のために評判の良い本作品を読んでみました。
現実感からの飛躍はところどころ目につくけど、ニューヨーク三部作のようなシュール系ではなくて、まっとうな青春小説。でも、三部作と同じ匂いが充満していました。

私生児として生まれ、精神的屈折を抱え込んでいる(らしき)主人公が、偶然の力を借りながら、自分のルーツを発見していく物語。

ニューヨーク三部作と同様に、主人公はこの作家特有のエキセントリックなキャラで、このキャラに同調できるかどうか次第、だと思います。

といっても、障壁になりうるのは、キャラそのものより、その描かれ方。主人公が犯罪者であろうと、精神的に破綻していようと、作者が上手く橋渡ししてくれれば感情移入できるはず。オースターはこの橋渡しをやりません。やろうとして失敗しているとか、気配り不足というのではなくて、やろうとしてない。そういうスタイルみたいです。
もう少し具体的に言うと、主人公を巡る状況(出会いとか境遇とか)と、即物的な次元での主人公の言動や心理は細やかに描写されているけれど、両者をつなぐメカニズムの部分がほぼスルーされています。主人公の行動が常識の範囲内であれば、読み手は容易に類推して間隙を埋められますが、オースターの主人公はとかく奇矯な行動(ホームレスになるとか、見境なく歩き続けるとか)に走りがち。ストーリーの流れから作者の意図は汲めるものの、オースターと相通ずる性格上の因子を持っていない読者は、取っ掛かりをつかみにくいのではないでしょうか?
少なくともわたしはそうで、勝手にテンパったりトチ狂っている印象が拭いきれなくて、つまり感情移入できませんでした。

ちなみに、この主人公による一人称自分語りのせいか、共演者の描写も淡白で、ことに恋人は薄くて物足りませんでした。

オースターの小説は英語の文体が際立って美しいそうで、柴田元幸さんの日本語訳がどこまでそれを伝えているのかは、原文を読んでいない、というか読んでも判断できないので、何とも言えませんが、翻訳物にありがちなたどたどしさは一切なくて、とても滑らか。
個人的には、中身よりも、そっち方面で楽しむ作家のような気がします。
moonpalce.jpg
  1. 2006-05-03 11:11:00
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