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シティ・オヴ・グラス (ポール・オースター)

《ニューヨーク三部作》
オースターのニューヨーク三部作を読みました。

『シティ・オヴ・グラス』はこの作家のデビュー作にして、三部作の第一弾。残る二作は『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』。
ちなみにこの3作品にストーリー上の相関関係はなくて、『鍵のかかった部屋』を読む上では前の2作に眼を通した方がスッキリしますが、『シティ・オヴ・グラス』『幽霊たち』は単独で読んでも支障ありません。

『シティ・オヴ・グラス』と『幽霊たち』は肌触りが似通っていて、一見探偵小説の体裁をとりながら、小説の常識をぶち壊すような型破りなアプローチで(たとえば、登場人物は記号的、抽象的存在として造型されているとか、ストーリーが不条理かつ象徴的であるとか)、自分を見失うことによる錯乱が描かれています。
既存の小説に挑戦する意志がはっきり表れていて、前衛的な作風と言えそうですが、20年前の前衛で、読みにくさはありません。ただし、型を破ろうとする意識の強さゆえに、作品単体では創作意図がつかみにくいかも。
個人的には、型破りな展開に気持ちよく惑乱させられて主人公の錯乱に同調する、という読み方がよろしいかと思います。

『鍵のかかった部屋』は、方向性は同じですが、若干毛色が変わります(詳細は別途)。

《『シティ・オヴ・グラス』について》
型破りな展開ゆえにストーリーに必然性が乏しくて、読者の関心を絶やさないために、ちょっと奇妙で気が利いたようなエピソードや会話や薀蓄話等が次々と繰り出されます。この演出を楽しめるかどうかで決まると思います。
わたしに関しては、もうひとつ乗り切れませんでした。いろいろと目先を変えてくるのだけど、どれも効果がイマイチで、作者との知的な駆け引きを楽しめる域には達していない、と感じました。

オースターはそれらしい暗示を散りばめていますから、主人公の言動に何らかの普遍的意味を見出すべきなのかもしれませんが、暗示が鮮やかに像を結んでいる、とは感じられませんし、終盤の狂態にもっともらしい説明を付けるのは難しそう。何やら寓意がありそうだけど、仕込みがいまひとつパッとしなくて、作者に好意的な読み方をしない限り、主人公は単なる変人。

ややネガティブな評になってしまいましたが、この作品が現代の日本人作家のデビュー作だとしたら、わたしはその作家に注目し、間違いなく次回作を心待ちにしたでしょう。完成度はともかくとして、作家の意欲と個性が刺激的です。

ところで三部作の中でこの作品だけ訳者が異なりますが、文章があまりこなれていません。
cityogglass.jpg
  1. 2006-05-03 11:09:46
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