この作家を読むのは『クライマーズ・ハイ』(別掲)に続いて2作目です。
同じノリです。組織に生きる男の熱い生き方が引き締まった筆致で描かれ、ちょっといい話風に締めくくる。
プロットは単純で彫が浅いし、人物の描き分けもイマイチ(キャラのパターンが限られている)。そして、物語の締めくくりを失敗しています。ああいう落ちにするのなら、仕込み方が間違っているんじゃないでしょうか。もっと病気ネタに読者の気持ちを引きつけておかないと。いや、やっぱり落とし方そのものを誤っているかな・・・
作劇としての弱さにもかかわらずやけに生々しく迫ってくるのは、男たちのぶつかり合いや組織との葛藤に迫力があるから。ぶつかり合いや葛藤の構図はワンパターンだし、熱い生き方礼賛のシンプルなスタンスだけど、作者は主役級の男たちを精神的にギリギリ追い詰めて、微塵も甘やかしません。
ここにこの作品のリアリティが、そして2作品しか読んでいないにもかかわらず思い切って断言してしまうなら、横山作品の一点突破的魅力があると感じます。浅田次郎作品の“人情”に匹敵する突破力を感じます(タイプは全然違いますが)。プロットが粗かろうが、人物がワンパターンだろうが、独自の世界に引き込んでしまわんとする強烈さ。勝ちパターンを持っている作家だと感じました。

- 2006-05-03 11:05:25
- 横山秀夫
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