ぶっき Library... テニスボーイの憂鬱 (村上龍)

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テニスボーイの憂鬱 (村上龍)

同じ村上でも春樹の方はすべての長編を読んでいるけれど、龍の方はこれで2冊目。1冊目は遠く昔の学生時代に『限りなく透明に近いブルー』を。圧倒されたわけだけど、その後手を出さなかったということは好みではなかったみたい。
そろそろ次を思案していたところ、別掲の『作家の値うち』で福田和也氏が高く評価していたので本書を手にとってみました。

バブル期前夜あたりの日本が舞台で、主人公は土地成金の息子。妻子持ちで、親の金でステーキ屋を経営しているけど、趣味のテニスにのめり込んでいる。そんな彼の2つの恋(浮気)が描かれています。

1つめの恋が終わるあたりまではなかなか楽しめました。主人公の描き方とか語り口が絶妙。取り留めなく言葉が吐き出されているようでありながらあちこち目配りがされていて、しかも計算を感じさせないナチュラルな感触。うますぎ。
ところが2つ目の恋が描かれている後半に入ると段々退屈に。結局首をひねりながら読み終わりました。これのどこがいいんだっけ・・・?

幸いなことにわたしが手にした幻冬舎文庫版(画像は集英社文庫版です)の解説が当の福田和也氏。本書は“小説家村上龍の畢生の傑作であり、日本人が経験した「豊かさ」から、その極点としての倦怠において、何らかの答えを引き出そうと挑んだ、問いと求道の、希有な試みである”だそうです。
なるほどなるほど。文芸評論家とか大学の先生の解説は「結局何が言いたいのかな?」「難しそうな言葉を並べてごまかしてない?」ってなることがしばしばなんだけど、この本の解説は良し悪しはともかく参考になりました。こう読むと傑作として読めるのか、なるほど。

ん!?でもでもでも・・・こっちは素人とはいえ、そんなに簡単に丸め込まれるわけにはいかん!
この作品が発表された当時(80年代前半)のことは知らないけれど、20年後の現在から振り返ると、この作品に描かれている倦怠って陳腐化しているんじゃないかな?今日の倦怠とは種類が異なるのかもしれないけれど、ここで描かれている倦怠は生ぬるいというかインパクトが弱すぎ。
それに、意図的なんだろうけど主題に解決を与えないで終わっていて、演出としてはありだろうけれど、この程度のことが解決できないようでは2005年は生き抜けないんじゃないの?って感じなのです。
たぶんこのあたりが後半の物足りなさにつながったのではないだろうか。

思うに、村上龍氏は時代をなぞるだけじゃなくて、その空気を体内に吸い込んで自分の言葉として吐き出している。これはきっと努力しても簡単に出来ることじゃなくて、この作家のセンスとか才能なんでしょう。
そういうところに敬意を感じつつも、しかし読んでいる自分が2005年にいることは動かしようのない現実で、現在では(一部の)小学生だってもっと入り組んだ倦怠の中で生きているような気がします。
発表当時に適確に時代を捉えていたのかどうかは今さら判断できないけれど、現時点では作品の本質的な部分に風化を感じるわけで、この程度の期間で風化してしまうとすれば、普遍性にまで掘り下げ切れてないんじゃないだろうか、という意地の悪い見方をしてしまいます。
tennisboyxyuutu1.jpg
  1. 2006-05-03 00:45:34
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