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理由 (宮部みゆき)

取材記録の形式で殺人事件の真相が浮き彫りにされます。社会派ミステリーです。

この作家は、社会派小説の人物造形において、事件に関連するほぼすべての登場人物たちの社会的背景(生育歴、家庭環境、交友関係、社会環境・・・)を徹底的に詳述しないと満足できないようです。しかも、ただ丹念に掘り下げるだけでなく、複数の視点(たとえば被害者の立場と加害者の立場)から描き分けています。そうすることで、犯罪を生み出した社会的背景の実相を浮き彫りにしていきます。
登場人物の社会的背景の描写は相当なボリュームでストーリーの流れがかすんでしまうほどですが、無節操にダラダラと描写されているわけではなくて、この作品では現代の家族のあり方という視点が全体を貫いています。読み進むうちに自然と“家族”について考えさせるように演出されていて、作品のコンセプトとしては理解できます。

しかし、こうした社会的背景の描写がストーリー展開上伏線として機能することは無くて、単にストーリーの流れへの肉付けとして累々と積み上げられていきます。一途というか愚直と言いたくなるくらい粘り強く積み上げられていきます。伏線として機能しない背景描写は、つまるところ補足的な説明に過ぎません。補足説明が肥大化してしまった小説には、テンポもスピード感も緩急の変化も期待できません。この小説はその典型と感じました。読んでいる最中に何度も中断したし、中ほどまで達した頃には本格的にウンザリしていました。
なるべくしてこうなったと考えますが、宮部氏はそれを分かった上でこのアプローチを採ったのでしょうか?

作品全体から受ける印象は、下手というのではありませんが、泥臭いと言うか洗練されていません。でも、ベストセラー作家だし直木賞受賞作でもあるので、わたしの感じ方は一般的ではないのかな?

別掲の『火車』『模倣犯』でもアプローチに共通するものを感じましたが、『火車』はせいぜい人物造形が丁寧と感じられる程度で許容範囲内でした。『理由』は上述の通りですが、『模倣犯』ではさらに宮部流が推し進められていると感じました。
いろいろなタイプの作品を書いている作家なので、これがすべてではないでしょうが・・・
riyu.jpg
  1. 2006-05-03 00:33:46
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コメント

ありんこさん、こんにちは
遅レスですいません。
直木賞をとるために、「これでどうだ!」くらいの勢いで創られたのが『理由』なのだと思います。確かに実力は伝わってきますが・・・ちょっと違うんじゃないかなぁ・・・
  1. ひねもじら 乃太朗  
  2.  
  3. 2007-03-09 20:33:27 
  4. #mQop/nM. 
  5. [ 編集]
同感です
>補足説明が肥大化してしまった小説には、テンポもスピード感も緩急の変化も期待できません。この小説はその典型と感じました。読んでいる最中に何度も中断したし、中ほどまで達した頃には本格的にウンザリしていました。

同感です。
理由・模倣犯ともに私も感じました。
傍系の話がすぐに出てきて本流が進まない…。本流の話が面白いというのも手伝ってイライラさせられました。
  1. ありんこ  
  2.  
  3. 2007-03-05 18:50:26 
  4. #- 
  5. [ 編集]

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