ぶっき Library... 火車 (宮部みゆき)

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火車 (宮部みゆき)

一時期この作家の長編をまとめて読んでいましたが、しばらく遠ざかっていました。読みやすくて面白いのですが、宮部氏が描く男性キャラに違和感があったり(妙におめでたかったりお人よしだったり・・・)、人物描写に散見される価値観の押し付けが鼻についたり、宮部氏が描くところの「優しさ」がしばしば「ぬるさ」「緩さ」と感じられたりと、次第に距離を置くようになっていました。
過去に読んだ作品の中ではもっとも感銘深かった『火車』も例外ではありません。しかし、この作品に関しては感銘の深さと強さがそれらを上回ります。

ローン地獄を描いた社会派ミステリーです。犯罪者が同時にクレジット/ローン社会の犠牲者でもあるという、ありがちだけど難しい「罪を憎んで人を憎まず」パターンです。人物を描いて、憎しみとも哀れみともつかない切なくも割り切れない心持に読者を誘うのは至難の業。それを模範的とも言える見事さで成し遂げているのが『火車』だと思います。
白眉と感じたのが・・・(以下ネタバレ)
犯人の女性が官報から血眼になって父親の死亡記事を探す場面。ギリギリまで追い詰められた人間の浅ましさと悲劇が最高のテンションで表現されています。ここだけでわたしの中に渦巻いていた諸々の不満が吹き飛んでしまいました。わたしはこの場面を読めただけでも満足です(笑)。
犯人の女性の足跡を追う刑事が、善悪の価値判断を超えたところで彼女に感情移入していくプロセスの描写も上手いと感じました。ラストシーンでの「なんと小さく、華奢なのだろう」「君にあったら、君の話を聞いてみたいと思っていたのだった」といった言葉たちが深い余韻を湛えていました。

わたしにとって欠点と感じられる要素が含まれているものの、宮部氏の魅力の輝きに心惹かれ、心打たれる作品です。
kasha.jpg
  1. 2006-05-03 00:32:51
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