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千里眼 , 千里眼 ミドリの猿 , 千里眼 運命の暗示 (松岡圭祐)

1作目の『千里眼』はやや独立性が高いものの、ストーリーは一つながりなのでまとめて扱います。

1作目の『千里眼』は第一級の娯楽作品に仕上がっています。登場人物のキャラはバッチリ決まっているし、個々の描写も充実しています。さらに緻密に計算された盛り上げは効果満点。ラスト付近での予想をはるかに上回るダイナミックな展開には度肝を抜かれました。「まいりました!」というのが率直な感想です。

『千里眼 ミドリの猿』『千里眼 運命の暗示』はタイトルこそ別立てですが、実質的に前編・後編です。
ストーリーは『千里眼』からの一連の流れになっていますが、充実感は一気にトーンダウンしています。人物描写は恣意的で大雑把、ストーリー展開もご都合主義。『千里眼』を源流とする物語の結末を知りたいがゆえに最後まで読みましたが、途中でウンザリしてしまいました。『千里眼』以上にスケールが大きくてダイナミック。しかし、部分的にうならされる場面はあるものの、総じて無理矢理で強引。たとえば・・・(以下ネタバレ)
肝心の敵役メフィスト・コンサルティングの手法はあまりにも現実味を欠いています。この作品では全中国人民を暗示にかけていますが、あの程度の仕掛けで強力に暗示できるとは思えないし、できると思い込ませるだけの仕掛けも無い(説得力の乏しい解説があるのみ)。それどころか岬美由紀のデモンストレーション程度で我に返っているわけで、適当というしかありません。というか、岬美由紀のデモンストレーション自体は意表を突かれた感じで面白かったけれど、あれしきのことで中国の首脳が我に返るというのは小説的に手抜きだと思います。ああいう落とし方をするなら、せめて事前に中国政府と岬美由紀に接点を仕込むなりの伏線を張っておくべきでしょう(FAXとかじゃなくて)。また、『催眠』から延々と引っ張ってきたミドリの猿の種明かしも唐突で取って付けたような安易な印象でした。
こちらも豪快な大ボラだと思って読んでいるので、重箱の隅をつつくつもりはありませんが、ホラを吹くならせめて読んでいる間くらいは騙し切って欲しいものです。作り手の都合ばかりが目につきます。

というわけで、第一作の『千里眼』のみお勧めです。
senrigan1-3.jpg
  1. 2006-05-03 00:24:42
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