ぶっき Library... パンク侍、斬られて候 (町田康)

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パンク侍、斬られて候 (町田康)

これは良く出来たエンターテイメントです。漢字アレルギーでさえなければ(後述)、誰でも楽しめそう。
時代小説の体裁だけど、時代考証無視、ハチャメチャでナンセンスでちょっぴりシュール。でも訳が分からなくなるほどにはハメをはずしていないし、物語としての筋道は一貫して保たれています。万人向けのつくりになっている・・・と思います。

抜群に面白いのが人物造形と彼らの間で交わされる会話。
話し言葉に現代の口語調を交えたり、時代考証を無視して現代的な組織の構図を持ち込んだりとやり口はベタなんですけど、会話のセンスがいいし、鋭い人間観察に立脚しているせいか笑いが安っぽくありません。新鮮で楽しめましたし、実際に笑えました。
頻出する息の長い饒舌な語り口は独特ですが、関西芸人にありがちなくどくてしつこいトークを様式化して洗練させたような味わいで(意味分かりますか?)、圧迫感とか粘っこさは感じませんでした。すごく練られた文体だと思います。

読みが難解な漢字がルビ無しで頻出します。たぶん標準的な漢字力の持ち主では対処しきれないと思いますが、何か意図があるのでしょうか?意味は分かるので、辞書を参照しなくとも問題なく読み進めましたけど・・・

キャラとか演出面では思いっきりハメをはずしていますが、ストーリーの基本線はオーソドックスな展開。前半のユーモラスでのどかな雰囲気から、後半はグッと盛り上げていきます。奇想天外な発想とスケールの広がりとスピード感は素晴らしいのですが、仕掛けが若干手薄に感じられてテンションが上がり切りませんでした。
僭越ながら私見では・・・
(以下ネタバレ)
解体された新興宗教団体を復活させるくだりがあっさりしすぎで、クライマックスに向けてのタメが効いていなかったと思います。
現状では新興宗教団体の旧メンバーたちによる布教活動を主人公たちは傍観しているだけなのですが、主人公たちも布教活動に参加させれば、その場面を描くことで新たな笑いが生まれただろうし、布教の成り行き次第で読者をハラハラさせられるし、その後の爆発的な布教の広がりと信者たちの暴走ぶりに臨場感が出ただろうし、何よりも新興宗教団体の元幹部(茶山)の思想とメンタリティ(狂気?)をつぶさに浮き彫りにすることでエンディングの手ごたえが増したであろうと思います。
言い換えるなら、これらの点がすんなり流れすぎているように感じました。

また、暴走する信者たちは「馬鹿」「あほ」「きちがい」で片付けられていますが、前半部分での鋭い人間観察に比べてあまりにも安直に感じられました。暴走の規模が大きくなればなるほど、暴徒を生み出した社会的背景としての藩の悪政や、身分制度の下位にあるがゆえの鬱屈とか、そういう仕込みがあると一層破壊力が出たと思います。

今のままでも傑出した作品です。個人的にここまでやってくれたら完璧だったな、という趣旨で指摘してみました。
panksamuraikiraretesouro.jpg
  1. 2006-05-02 09:33:17
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「パンク侍、斬られて候」町田康
パンク侍、斬られて候発売元: マガジンハウス価格: ¥ 1,680発売日: 2004/03/18売上ランキング: 11008おすすめ度 posted with Socialtunes at 2006/08/30これを読み終わって17時ごろ。ちょっと寝転んだらどうやら寝てしまったらしい。この本の感想をだーーーっと書き連ねて
  1. 本を読む女。改訂版    
  2. 2006-09-06 00:40:22  

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