『好き好き大好き超愛してる。』『ドリルホール・イン・マイ・ブレイン』の小説2編とイラスト集が収録されています。
この作家の並外れた才能はここでも十分に発揮されています。畳み掛けてくる能弁な語り口、奔放に飛躍するイメージ。好き嫌い、認める認めないは別にして、その非凡な才能には圧倒されます。
【好き好き大好き超愛してる。】恋人が死んでいく、という題材を用いた複数の物語が変奏曲風に連携させられて、作品全体として“愛”が語られています。ただし、複数の物語のうちの一つがブッチギリのメインなので、取っ掛かり難さはありません。
この作品の一人称語りは、語り手が見たり聞いたり感じたことを臨場感豊かに描くことよりも、それらを受けて思索したことの語りに軸足が置かれていて、情緒とか感傷よりも理屈とか観念が前に出ています。
わたしは情緒にひたりたい派なので、理屈っぽさをうるさく感じました。テーマの一番大切なところを描くより語ってしまっているので、言葉の圧力は感じるけど「愛」がこちらに響いてきません。
複数の物語を変奏曲風に連携させる演出は凝っていると思うけど、連携のさせ方が観念的なので、イメージが鮮やかにオーバーラップしていきません。メタ化しているのかもしれないけど(てか、メタ化って何?)、ただの数珠繋ぎ。複数のイメージが奇麗にオーバーラップしないもどかしさは『阿修羅ガール』(別掲)でも感じました。
想像力が貧困な作家ではないけれど、イメージよりも言葉とか観念で物語を構築していく傾向が強そう。
中身は読ませます。そんじょそこらの純愛小説(?)とは一線を画しています。
死別してしまったら永遠の愛なんてほぼありえないんだけど、だからこそそれを強く願わずにはいられない、という純愛の形に共感しました。
ただし、これだけ「愛だ!祈りだ!」と吼えるわりに胸に迫ってくる感じが乏しいのは、執筆時点でのこの作家の限界を示しているのかも・・・
【ドリルホール・イン・マイ・ブレイン】こっちには持って回ったような理屈はなくて、ひたすらに言葉と過激なイメージが疾走しています。自分の内臓をかき回されるような気持ち悪い過激さが満載。『九十九十九』(別掲)より気持ち悪いかも。
二人というか二つの人格が語り手をつとめていて、「俺」「僕」で描き分けられています。「俺」「僕」が唐突に入れ替わるし、語りのリズムが同じなので混乱しやすいかも。
「またこのパターンか・・・」と思わないわけではないけど、舞城作品でしか味わえない貴重なテイストです。

- 2006-05-02 09:31:18
- 舞城王太郎
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こちらこそご無沙汰しています。
理屈っぽくとも、舞城はリズム感がよいので、すっと頭に入ってきますね。
- ひねもじら乃太朗
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- 2008-08-04 16:09:28
- #mQop/nM.
- [ 編集]
乃太朗さん、こんばんわ。お久しぶりです。
私はミステリ要素メインのものよりも、この手の舞城作品のほうが好みみたいです。実際には理屈っぱさ全開の人はちょっと…と思いがちなのに、お話では観念語り系のお話が結構好きなのかもしれません/笑。
- romi
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- 2008-07-21 20:59:39
- #sZpm1ECI
- [ 編集]
好き好き大好き超愛してる。 舞城王太郎著
『愛は祈りだ。僕は祈る。〜』から始まる本作。ものすごく蒼天を思い描いてしまうくらい、清々...
- slow match
- 2008-07-21 20:46:42