ぶっき Library... 溺れる魚 (戸梶圭太)

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溺れる魚 (戸梶圭太)

作品の持ち味は別掲の『なぎら☆ツイスター』と似通っています。なので、そちらを参照していただく前提で、違う点を列記します。

『溺れる魚』にはミステリヘーの要素は入っていなくて、その分バイオレンス色が前面に出ています。登場人物の設定は、警察、ヤクザ、過激派、前衛芸術家、企業の役員と、こちらの方が一層バラエティーに富んでいます。

前半は、内部の不正を扱った警察小説的な雰囲気で進んでいきます。これと企業への脅迫事件が絡んで、一見シリアスな雰囲気が漂っています(ブラックな笑いは散見されますが・・・)。後半に入るや、一気にこの作家らしい暴力的で下品で猥雑なノリが炸裂し、怒涛の勢いでラストになだれ込みます。このギャップがなかなか効果的です。

(以下ネタバレ)
最初は不正を正す立場として描かれていた監察側が、後半のドタバタの中で警察のエゴと保身のための組織という実体(あくまでも小説の設定としての実体)を露呈していきます。義憤とか苦い後味が残りそうなものですが、小説に描かれている世界があまりにもエゴと欲望むき出しなためか、はたまた次々と繰り出されるエグイ描写の毒気に当てられたのか、そういう意味での後味の悪さはありませんでした。立場は違えどみんな等しくエゴと欲望のために生きているだけ、という小説内の世界観に汚染されていたのかもしれません。
好悪は別にして、自分の世界を持っている作家と思います。
oborerusakana.jpg
  1. 2006-05-01 19:27:09
  2.  戸梶圭太
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溺れる魚
溺れる魚 戸梶圭太著 完全なる自己責任の罪のおかげで自宅謹慎を命じられた秋吉と白州。いよいよお沙汰がくだるという時に監察側から選択...
  1. slow match    
  2. 2008-03-28 22:21:50  

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