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匣の中の失楽 (竹本健治)

竹本氏初期の長編です。ミステリー好きの方々の評価が高い作品なので手にとってみました。

登場人物のすべてが探偵であり容疑者でもあること、現実と小説内小説のクロスオーバーなど意欲的で大胆ですが、全体的に未消化。
現実と小説内小説のクロスオーバーという手法を採るからには人物造形力が必須ですが、これが弱いのでグダグダになっています。効果的でないばかりか読み手を混乱させるだけ。
また、探偵たちによる推理のほとんどは憶測によって構成されています。そもそも、ディープなミステリーオタクの登場人物たちが、手がかりが乏しい中でどうして推理合戦を始めたのか、どうして懲りずに継続しているのか理解できませんでした。憶測合戦にしかなりえないし、事実そんな雰囲気でした。これに限らず、物語はもっぱら作者の恣意で進行します。
場面の描写はなかなか雰囲気がありますが、締まり無く垂れ流されています。

筆力を省みずアイディアだけで突っ走ったような作品です。無理矢理な作品ですが、そのまま押し切ってしまうエネルギーが読み手に伝わってきます。作者自身の無謀さ・向こう見ずなバイタリティー・青臭さが、独特の青春小説っぽさを醸し出しています。ミステリーオタクの青春ですけど。

事件解決のための謎解きではなく、謎解きという行為に耽ることがこの小説の狙いのようです。ミステリーオタクによるミステリーオタクのための小説ではないでしょうか。
わたしはミステリーオタクではないので否定的な印象を持っていますが、適当に飛ばし読みすれば、それなりには楽しめました。
前述のように人物造形力は弱いですが、個々の登場人物を別個の独立した人格と考えず、作者の分身のバリエーションと割り切って読むのが吉だと思います。

突っ込みどころ満載ですが、作家の出発点としては魅力的です。このようなエネルギーを感じさせる作家が、今後どんな傑作を物してくれるのか。しかし、あとがきによると、作者はこの作品を若書きの傑作とみなしているようです。
hakoxnakaxsituraku.jpg
  1. 2006-05-01 19:19:56
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