ぶっき Library... 見えないドアと鶴の空 (白石一文)

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見えないドアと鶴の空 (白石一文)

サイキックな要素が入っているのは個性的ですが、基本的には男女の性愛が描かれ、人生論が語られます。

この作品で語られる人生論は論理的に緩々な机上の空論。
とある高僧の言葉が序盤に示され、主人公=語り手はそれに沿って思索を進めていきますが、本質はおかまいなしに言葉をつまみ食いするだけだし、論理の飛躍が多くて説得力がありません。しかも、思索の結果が主人公の行動に適確に反映されていません。
テーマにかこつけて現実離れしたサイキックな要素を取り入れたぶん上ずった印象が強くなっていて、同じ著者の『僕のなかの壊れていない部分』(別掲)より安っぽく感じられました。

あとがき(?)で作者が言うような「自分(=読者)が何のためにうまれ、生きているのか」を「真剣に一緒に考えてくれる」小説を書きたいのなら、机上の空論ではなくて胆の底から搾り出した言葉でなければ心に響いてきません。少なくともわたしの人生観には何の影響もありませんでした。

ただし、説得力はともかくとしてこの作家の思い入れ(思い込み?)はホンモノです。小説の場合、理屈の中身よりこだわりの熱気の方がモノを言ったりするわけで、そういう面白味は感じられました。
でもこの点でも『僕のなかの壊れていない部分』(別掲)には及ばないと感じました。

文章は読みやすくて、ダイナミックではないけれど飽きさせない程度には変化に富んでいます。すんなりと読み通せました。前述のように安っぽさはあるけれど、小理屈を適当に流せればそこそこ楽しめるかも・・・
mienaidoorxturuxsora.jpg
  1. 2006-05-01 16:14:18
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