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赤頭巾ちゃん気をつけて (庄司薫)

わたしにとって饒舌な文体の原体験はこの『赤頭巾ちゃん気をつけて』。20年以上ぶりに手に取ってみた。

見出したのは曰く言い難い懐かしさ。『赤頭巾ちゃん気をつけて』には作者の青春とともにあの時代の息吹が密封保存されていた。
作品の舞台となっている1960年代末には小学生ですらなかったわたしが当時の空気を記憶しているとは思えないから、この懐かしい感じが脳内で合成処理されたものであることは間違いないのだけれど(テレビや漫画?)、この懐かしさには実感が伴っている。

この時期の日本は高度成長期に最中にあって、世の中全体に活気があったし、若者たちの間では能天気で青臭くて無邪気な自己過信が蔓延していた(あくまでも推定・・・)。ブラウン管の中では野球の投手が意地と根性で消える魔球や分裂する魔球を投げたり、型破りな熱血教師がお茶の間に感動の渦を巻き起こしていた時代。

『赤頭巾ちゃん気をつけて』のクールな主人公も例外ではない。彼はとてもよく回る頭脳で諸々を支離滅裂的に分析しながら、結局は「みんなを幸福にしたい」とか「海のような男になりたい」なんていうおめでたくも香ばしい決心に到達する。能天気で青臭くて、でもどこか微笑ましくて懐かしくて。

上手く言葉に出来ないけれど、心の中にしまい忘れた何かを刺激してくれる作品だった。

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学生運動の煽りで東大受験が出来なくなった日比谷高校(公立ながら当時はバリバリの進学校だった)3年生の一日が、主人公自身による軽快かつ饒舌なトークを通して描かれています。お澄ましっぽい口調には好き嫌いが出るかもしれませんが、饒舌な文体はなかなかに読ませます。

普遍的に爽やかで甘酸っぱい青春物語ではなくて、60年代終わりの東京在住のおぼっちゃまな優等生の意識が等身大で語られています。金持ちのエリート一家の末っ子としての選民意識丸出しだし(なんか嫌味~)、自意識過剰で青臭いのだけれど、そういうネガティブな要素もひっくるめて率直な語りが奏功していると思います。わたしが一方的に懐かしがっているだけではなくて、この小説にはそれをさせる力があると思います。

ピンキーとキラーズ『恋の季節』とかいしだあゆみ『ブルー・ライト・ヨコハマ』といったナツメロがリアルタイムで登場する(ともに1968年~69年のヒット曲)のも懐しかったです。

この時代をまったく知らない人たちはこの小説をどう読むのだろう?
akazukinchankiotukete.jpg
  1. 2006-05-01 16:13:35
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