ぶっき Library... 黒い仏 (殊能将之)

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黒い仏 (殊能将之)

ネタバレです。

石動戯作シリーズ第二弾。

本格ミステリーとサイキック・ホラー(なのか?)の抱き合わせなんですけど、中盤までは本格ミステリーと見せかけておいて、後半でサイキック・ホラーに変貌させて本格ミステリーの構図をひっくり返してしまう、という一種の“ちゃぶ台ひっくり返し”小説(参照『巨人の星』)です。

前作『美濃牛』より贅肉が削ぎ落とされていて、最後まで一気に読ませてくれました。特に後半は予断を許さない展開。面白かったです。

ただし後味は物足りなかったかな。
このタイプの作品は、どれだけ読者を驚かせ、混乱させるかが勝負だと思うんですよね。半ば過ぎ頃に突然サイキック・ホラーに切り替わったときはニンマリだったけど、その後はヒネリがないままありがちな結末に。いまどき星新一氏のショートショート並みのケレンを長編でやられてもなぁ~
“ちゃぶ台ひっくり返し”小説としては『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午氏)、超常現象を交えた本格ミステリーとしては『生ける屍の死』(山口雅也氏)といった秀作を現代の読者(てか、わたしのことなんですけど・・・)は体験してしまっているわけで、それらに比べて『黒い仏』は芸が足りないと思いますよ。まあ、出版の順番では『葉桜の季節に君を想うということ』の方が後なんですけどね。

石動戯作の迷推理に合わせて犯人たちが時間を遡って事実を書き換えてしまう、で終わってしまったのがなんとも残念。これだけだったら驚きが少ない。
どうせなら、石動戯作がさらなる迷推理を繰り出して、そのせいで犯人たちの時間旅行+事実改竄のロジックが破綻して、風が吹けば桶屋が儲かる式に人類が戦いに勝利してしまう、くらいのことはやって欲しかったです。毒を食らわば皿までも、ですね。
kuroihotoke.jpg
  1. 2006-05-01 16:11:19
  2.  殊能将之
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