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美濃牛 (殊能将之)

殊能氏の二作目にして石動戯作シリーズ第一弾。

わたしは横溝正史氏の長編をほとんど読んでいるのですが、推理の部分より雰囲気作りとか盛り上げ方が好きだったりします。特に地方を舞台にした作品群。一線を超えてしまったコテコテさと時代性があいまって、ほとんどファンタジーです。推理部分の満足度に関わりなくトリップできるのが何より!

『美濃牛』はそんな横溝作品のへオマージュ(賛辞)的な作品。おなじみの舞台装置が数多く登場します。僻村、洞窟、わらべ唄、芝居がかった地名、猟奇的殺人などなど。心地良い懐かしさを感じさせるラインナップです。
でも雰囲気はまるで違います。明るくてコミカルで現代的。そして、知的というか才走った感じ(でも嫌味は感じない)。横溝作品にありがちな異世界に足を踏み入れるような感覚はありませんが、これはこれで個人的には好ましい持ち味です。

そこそこボリュームがある作品ですが、序盤から中盤にかけてはしばしば謎解きの本筋から外れた知的な遊び(俳句とかその他諸々の薀蓄話)があって、冗漫と言ってもいいくらいなのですが、平明な表現でテンポ良く語られているせいかそれなりに楽しめました。こうした遊びが良くも悪くもこの作品の大きな特徴になっています。
さすがに再読のときは間延びを感じましたが。

終盤は洞窟巡りの場面があったりと緊迫の色を帯びますけど、名作『八つ墓村』あたりと比べてしまうとご愛嬌。手短にまとめてるから、このシーンで勝負するつもりはないんでしょうけど。比較しなければこれはこれでほどほどに盛り上がっているように感じられますが、比較しろと言わんばかりの仕立てなので・・・。

キャラは総じて活き活きと表情豊かに描かれていて、この作品最大の魅力と言ってもいいくらい。
ただし、犯罪の舞台となった羅堂家の面々のキャラが薄口で類型的なのはちょっと物足りませんでした。犯罪のインパクトが弱く感じられたことの一因かも。描きすぎると読者に手がかりを与えることになってしまうから、サジ加減が難しいのでしょうけど。

ちなみに謎解きは「あ、なるほどね」くらい。
本格ミステリーの側から眺めるとちょっと間延びしているような気がします。謎解きの論理が、と言うよりも一連の事件の演出が。持ち味と言いつつも、遊びの部分が過剰かも。
でも、活き活きとしたキャラの造形とか練れた語り口の点では、一般的なミステリー小説の水準を軽く超えているんじゃないでしょうか。
minogyu.jpg
  1. 2006-05-01 16:10:51
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