ぶっき Library... 斎藤家の核弾頭 (篠田節子)

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斎藤家の核弾頭 (篠田節子)

近未来の日本を舞台にしたドタバタ劇です。行き過ぎた管理的社会や旧態依然とした家の観念を風刺した作品。

齋藤家を媒介として、効率性を追求した社会制度が旧態依然とした家の観念や選民意識に結び付けて描かれているところはなかなか巧みです。そうすることで、現在と未来だけでなく、過去の社会も視野に捉えられています。また、管理する社会対管理される個人という単純な図式ではなく、そこに家族というファクターが取り込まれていて、管理社会と家族と個人の三つ巴で描かれている点も特徴的です。主人公の女性は直接的に家風や夫と、間接的に管理社会と戦い、主人公の旦那は直接的に管理社会と戦っています。
これらの重層構造は物語に奥行きをもたらしていますが、反面、管理する社会vs個人の対立の構図があいまいになり、どこか中途半端です。管理的社会の容認を前提に、信念からではなく融通がきかないためにはじき出された一家を戯画化したドタバタ喜劇とも解釈できます。管理的社会とともに、旧態依然とした家の観念や選民意識にまみれた齋藤家も揶揄されているので、二重否定になり、結論のインパクトが曖昧になっているようです。
おそらく管理的社会と旧態依然とした家の観念や選民意識の双方が風刺されているのでしょうが、1つの作品の中でこれらをセットにして風刺することの必然性は感じられませんでした。物語に奥行きを出すための“ひねり”のようなものと考えますが、良かったのかどうか・・・

結末のインパクトの歯切れは鈍いものの、そこに至るまでのストーリー展開や人物描写は十分に楽しめました。
saitokexkakudanto.jpg
  1. 2006-05-01 16:07:23
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