ぶっき Library... 2013年06月

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1Q84 (村上春樹)

今更ながら、『1Q84』を読了。



以前に村上作品を読んでからずいぶん時間が流れたので、あいまいな記憶にすぎないけれど、村上春樹の三人称視点による語りとしては、これまでになくすんなりと読めた気がする。

過去の村上作品を知る者にとっては馴染みのあるキャラが揃っていて、そのぶん作者も気持ちを入れやすかったのではないだろうか。三人称視点になっても、よそよそしさは感じられなかった。これだけの大長編にして。

このことが、最大の収穫ではないだろうか。大したことないように聞こえるかもしれないが、もともと一人称語りの名手なので、読者の期待値は自然と高くなる。その上でのこの収穫だから、意義はそれなりに大きいと思う。



ただ、主要人物の三人が、それぞれに独立した人格として存在感を発揮している、ということではないのかも。成り立ちが暗示的な物語であって、その中で、登場人物たちは各自の役割を果たしている感じ。活き活きとした人間模様が浮かび上がってくる、なんてことはない。

また、登場人物のキャラ設定を見ると、それぞれに傷を抱えているけれど、ポテンシャルの高い人物ばかり。そういう設定にしたほうが物語を回しやすいということはあるのかもしれないけれど、作者の好みなのだろう。

いずれにしても、三人称視点による語りが磨き上げられたことで、村上ワールドが大きな変革を迎えた、という感覚はしない。一人称語りのときと同じ閉じた世界を、異なる切り口から眺めるような感じ。

これは良い悪いとは別のこと。



リトル・ピープル、ドウタ、マザ、パシヴァ、レシヴァ、2つの月といったような、暗示的な設定があちこちに配されている。しかし、それらに託された意味みたいなものを考察しなかった。

たとえば『ねじまき鳥クロニクル』では、含意を読み取らないことには読んだことにならないと思わされて、あれこれ頭をひねった。
『1Q84』にそういうところはない。なにしろ、主要人物の3人とも、最終的には舞台からいなくなってしまうわけで、架空の物語世界と片付けてしまったって何ら支障のない作りになっている。
わたしとしては、お言葉に甘えて、考えることをしなかった。



そういう読み方をすると、ちょっと影のある、ボーイ・ミーツ・ガールの後日談、という感触の小説になるのだろうか。

カップルの女性の方がたくましくて、男性は受身でヘタレ気味という設定は、ライトノベルにありがち。『1Q84』はライトな小説ではないけれど、軟派な娯楽小説ではあるかもしれない。

いずれにしても、これだけの長編を一気に読まされたから、おもしろいことは間違いない。
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  1. 2013-06-22 14:07:37
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