ぶっき Library... 2008年02月

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

永遠のとなり (白石一文)

久しぶりの白石一文作品。

部下の自殺をきっかけにうつ病に罹り、何もかも失って故郷に戻った主人公と、ガン再発の恐怖と背中合わせに生きる友人(どちらも50歳目前)を軸に物語りは展開する。
渋い風合いと主要人物たちの高齢さに違和感を覚えなければ、なかなかいい小説だと思う。自分自身、最後まで読みきる自信のないままに読み進めていたけれど、意外とすんなり読了。ページをめくる手が止まらない、というような強い吸引力は感じないけれど、すんなりと読めた。
この作家の一番のうまさはストーリーテリングにあると思う。いったん読み始めると、ひっかかりはあっても最後まで読ませてくれる。つまり、力のある作家だとわたしは思っている。

上で“ひっかかり”という表現を使ったけれど、過去に読んだ作品ではこれが看過できないくらいに強かった。しかし、この作品ではほとんど気にならなかったし、過去のひっかかりの要因が見えたような気がする。

この人は生きる意味みたいなものを好んでテーマに据える。『永遠のとなり』もそんなひとつで、「人間って一体なんやろね」という発問がなされ、主人公は人とか人生について考察する。
こういうネタフリをされると、わたしなんかは形而上学っぽい世界を期待してしまうのだけど、この作家の“哲学”はあくまでも生臭い俗な世界で展開される。わたしにとしては、“哲学”というより“気の持ちよう”とか“方便”といったほうが近い。あるいは酒席での哲学?
そう感じる最大の理由は、主人公たち、そしておそらく作者も、性的な欲望とか名誉欲(学歴とかエリート意識とか)にまみれながら、そういう欲望とか執着に翻弄される自分を客体化できないままに“哲学”を語ろうとするから。

でも、わたしは“哲学”の素人であるから“哲学”の何たるかを定義する資格はないし、この作家の真摯な取り組みにそんなレベルでケチをつけるのは本意ではないし、『永遠のとなり』は過去に読んだ作品に比べてずんぶん率直だから、こちらも虚心坦懐にメッセージを受け取りたい。あいかわらず執着する自分を客体化しきれない不器用さを含めて。
もう少し突き抜けられたら、ある種の清清しさに到達できるのだろう。そこまで頑張ってください(こっちが年下なのに偉そうだと思うが、ほかに言いようが無い)。


スポンサーサイト
  1. 2008-02-08 01:52:17
  2.  白石一文
  3.  |
  4.  Trackback(0)
  5.  Comment(0)
  6.   Top ▲ Home

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。