ぶっき Library... 2007年09月

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



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マルドゥック・ヴェロシティ (冲方丁)

印象的だった『マルドゥック・スクランブル』の続編。ただし、描かれているのは『マルドゥック・スクランブル』より前の出来事。前作同様3分冊。

本作の主人公は『マルドゥック・スクランブル』の敵役。『マルドゥック・スクランブル』を読んだのは1年4ヶ月前なので、頭の中でつながるまでに少し時間がかかる。が、どうやら前作を知らなくても支障無さそう。

文章は美しくない。うまいとも思わない。ただ、記号を駆使した表現にはスピード感があるし、熱気を帯びた文体には強い牽引力がある。
洗練されない前のめりな文章に、この作家の姿勢があぶりだされているのか(いい意味で言ってます)。

『マルドゥック・スクランブル』でも立ち上がりの鈍さを感じたけれど、本作はさらに鈍い。3分冊のうち2冊目の半ば頃までは、面白さを鈍重さが上回る。入り組んだ人間関係の煩雑さがこれに拍車をかける。
しかし、それ以降は力強いドライブ感で一気に読ませる。

『マルドゥック・スクランブル』ではヒロインである少女の覚醒の物語が圧巻だった。SFというジャンルを超えた面白さがあった。
一方の『マルドゥック・ヴェロシティ』は、SF、サスペンス、バイオレンス、ミステリーなど複数の顔を持つし、主人公の葛藤には説得力があるけれど、素性としてはジャンル色の強い作品。
前者は万人に勧めたい作品だけど、『マルドゥック・ヴェロシティ』はこの手の小説が好きな人たちにとって楽しい作品、と思う。
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  1. 2007-09-25 14:55:02
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愚者のエンドロール (米澤穂信)

先日記事をアップした『氷菓』に続くシリーズ第2弾。

微妙な読後感。
この作家の魅力が、キャラの立たせ方と明快で親しみやすい語り口にあると考えれば、期待は裏切られない。
ただ、『愚者のエンドロール』は前作『氷菓』に比べて推理小説としての色が強く出されているけれど、(ミステリーとしての)論理面での弱さゆえに、かえって消化不良に感じられる。

特に引っかかったのは、一連の出来事の仕掛け人「女帝」の行動に説得力が無いこと。「女帝」は映画のクォリティ=論理的な完成度と考えて行動しているけれど、その発想は変な気がする。そして、折木の推理によって修正されたオチが映画的におもしろいのか微妙。

また、千反田が最終段階で持ち出した「本郷はなぜ・・・」という着眼は、ふつう最初の段階で考えることではないだろうか。少なくともわたしはそうだったので、どんでん返しのネタとして使われていることに苦笑させられた。

まだシリーズ2作目だからキャラの鮮度は色あせておらず、相変わらず楽しい。ウイスキーボンボンで酔っ払う千反田とか。ただし、酔った彼女をストーリー展開にからめてくるのかと思いきや、キャラ萌え描写に終始していた。もうちょっとヒネって欲しいかも。

単調に陥るのを救っているのが終盤のどんでん返しで、ミステリー的な興奮は乏しいものの、主人公を含めた4人組のやりとりは微笑ましくも楽しい。こういうところに、作家のセンスの良さを感じる。

割り切って読んでいるから、この作家の持ち味を楽しんだけれど、評を書くとなれば辛口にならざるを得ない作品。



  1. 2007-09-06 22:58:42
  2.  米澤穂信
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氷菓 (米澤穂信)

さて、小説の感想は久々。本は読んでたんだけど、感想を書く時間がなくて・・・ということは無くて、読めてなかった。


あんまり重いのは読む気にならん、ということで手に取ったのが米澤穂信。この人のは、1年4ヶ月前に『犬はどこだ』を読んで以来。
デビュー作とのこと。

なんというか、粘着したければ突っ込みどころは少なくないけど、ライトな学園ミステリーのノリに抵抗が無ければ、息抜きに好適。キャラは立っているし、文章は分かりやすいし、うるさくない程度に能弁で、能天気でない程度に明るくさわやか。個性際立つ、という感じではないけれど、この作家の持ち味はなかなかいいと思う。

『犬はどこだ』の感想を読み返したら、『氷菓』から受けた印象に非常に近い。いいところも悪いところも。いいところはもう上に書いた。

気になったところに粘着してみる(以下ネタバレ)。
ひとつは、終盤になって33年前の出来事の関係者によって真相が語られる、という展開なのだけど、そもそも33年くらい前の出来事なら記憶している人は多数いするはずで、あれこれ推理するよりも、最初から当時を知る人たちへのヒアリングに取り掛かるべきだったんじゃないの?という素朴な疑問。もともと本式のミステリー小説ではないけれど、それを加味しても謎がしょぼい。
もうひとつは、すべてが判明したときのインパクトの弱さ。肝心のヒロインの伯父さんの、作中での存在感が乏しいせい。
三つ目は、ハードボイルドを気取る高校生の主人公が、自分のあり方に迷う場面があって、狙いは分かるのだけれど、とってつけたような不自然さがある。

『氷菓』という作品の感想をアップするからには、気がついたことには一通り触れておきたいから、欠点も列挙したけれど、この程度のことは読む前から想定済みだったから、興が冷めたりはしない。気持ちよく息抜きさせてもらえた。




ところで、以前活発に更新していた頃に相互にTBさせてもらっていた方々に、たまの更新でもTBすべきなのかもしれないけど、更新ペースがつかめるまではこっそり(?)記事をアップすることにします。
  1. 2007-09-03 01:16:36
  2.  米澤穂信
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