ぶっき Library... 2007年01月

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

温室デイズ (瀬尾まいこ)

11月にいじめ自殺に関する記事をアップした際に、『図書館で本を借りよう!~小説・物語~』のすのさんから、『温室デイズ』の書評記事のトラックバックをいただいた。気になったので、遅ればせながら読んでみた。

何が気になったかというと、いじめに対する探究心よりも、あの瀬尾まいこが、いじめをテーマにどんな小説を物したのか?という好奇心。

瀬尾本はここにアップしている2冊しか読んでいなくて、それだけでこの作家を語るのは軽率なのだけど、持ち味としての雰囲気の良さはあるけれど、思慮浅く感じられて、ちょっと痛い感じ。

そんな彼女が、“いじめ”という困難なテーマにチャレンジしたという。いくら現役中学教師という強みがあるとは言っても、いくら旬な話題ではあっても、ちょっと軽率ではないのか?角川書店の口車に乗せられて踏み誤ったのではないか?
などと危惧したけれど、これはなかなかいい本でした。

過去に読んだ2作品と違って、この作品はリアリズム小説。
作者の意識はチャライ妄想に走らず、現実に向かっている。
中学校という“温室”が下卑た悪意をもぬくぬくとさせている現実、そして集団の悪意が持つ無機的な不気味さがちゃんと伝わってくる。
心理描写は相変わらず甘口で、テーマのわりに圧力は乏しいけれど、つらいテーマにしては読みやすいとも言えるわけで、一概に欠点とは言えない。

この作品は“いじめ”に対してまったく楽観的ではない。あるところで境界線がひかれていて、それを超えたところでは思いは伝わらないし、理解しあうこともできない。二人のヒロインは一貫してその犠牲者で、前向きに働きかけども報われない。
しかし読後感は苦いばかりではない。いや、むしろ幾ばくかの心地良さに浸れた。それは、二人のヒロインが成長しているからだし、彼女たちは“温室”には失望したかもしれないけれど、人間には失望していない。

物足りない点は、ヒロインの一人みちると不良学生伊佐の関係が中途半端にしか描かれていないこと、SS山川の花壇の防衛方法が陳腐に感じられる点。
でも、瀬尾まいこ作品でこんな風に適度な感情移入を楽しめたのは意外な収穫。
onsitudays.jpg
スポンサーサイト
  1. 2007-01-21 14:40:23
  2.  瀬尾まいこ
  3.  |
  4.  Trackback(1)
  5.  Comment(6)
  6.   Top ▲ Home

陽気なギャングの日常と襲撃 (伊坂幸太郎)

久しぶりというか、何ヶ月ぶりかの小説。軽い娯楽作品を、ということで本書を手に取ったけれど、注文通り。

この作家、作品がシリアスになればなるほどもどかしさが募る。社会に対する批評や人間に対する洞察が甘っちょろいから。
その点、本書ではあっけらかんとした楽しさが追求されていて、素直に楽しめる。

全編にわたって上手いと感じるのが、キャラの立たせ方とかサービス精神たっぷりの会話。後者はややしつこいけれど、うるさくはならない。サラッとした軽味は天性か。気持ちよく読ませてくれる。

ストーリーテリングの面白さは、以前に発表されたらしい四つの短編に基づく第一章が際立っていて(気の利いたミステリー、というタイプの面白さだけど)、第二章以降は緩くなって、手に汗を握るとか、胸がすくとか、にんまりできる、というほどではない。悪役のキャラが弱いし、主人公たちの作戦はすんなりと進み過ぎるし、そもそも主人公たちがこの事件に肩入れする必然性が描けていない。また、お得意の伏線の処理は、手際は良いけど、華麗といえるほどではない。
読ませるのは、あくまでもキャラたちの力。

前作『陽気なギャングが地球を回す』の記憶は定かではないけれど、いじめとか自閉症児のエピソードが盛り込まれていて、巧みに陰影をもたらしていた。本書ではその種の演出は控えられていて、ひょっとしたら数ある伊坂作品の中でも、もっともあっけらかんとしたテイストかもしれない。
youki-gang-nitijo-syugeki.jpg
オンライン書店ビーケーワン

  1. 2007-01-02 22:00:45
  2.  伊坂幸太郎
  3.  |
  4.  Trackback(1)
  5.  Comment(2)
  6.   Top ▲ Home

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。