ぶっき Library... 2006年08月

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



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松浦純菜の静かな世界 (浦賀和宏)

浦賀和宏の作品を読むのはこれが初めて。

以前にこちらの記事に書いたけど、わたしは読書中に作者の存在を強く意識する読者。そのことが関係しているような気がするのだけど、エンターテイメントとしては完成度に難があったり、癖が強すぎても、作者自身の息遣いとか脈動みたいなものが感じられると、気になってしまう。
逆も真なりで、いくら上手くても、手際の良さばかりが目につくタイプの作家(ごく一部の作品しか読んでないけれど、石田衣良とか奥田英朗とか・・・)にはいまひとつそそられない。

この作品は松浦純菜シリーズの第1作で、現時点までにシリーズ中3作品(既刊は4作品)を読了している。このシリーズはミステリーっぽい仕立てになっているけれど、ジャンルはこの際どうでもよくて(?)、ブ男で、いじられっこの嫌われ者で、ガンダム・オタクな男子高校生の自閉的で堂々巡りする心象がひたすらに垂れ流され、負のエネルギーが作品を支配している。
深い洞察や思索なんて無い。ただただ吐き出される。気が滅入ってくるような作品世界だけど、その過剰さ、執拗さには意志の力が感じられる。

わたし自身は、幸いにして虐めた記憶も虐められた記憶もないし、ガンダム・オタクでもないから、さして主人公に感情移入できなかったけれど、シリーズの行く末、作者がどう落ちをつけるのか???に興味を掻き立てられた。


ミステリー的謎解きがプロットに組み込まれているけど、“ついで”みたいな感じなので、それを目当てに読むと物足りないかも。

シリーズのヒロイン松浦純菜の内面は、第2作・第3作では読者から遠ざけられるけど、この第1作ではある程度露わにされる。主人公八木剛士と彼女の屈折した心の絡みが作品のポイントのはずだけど、このあたりは上手くない。たぶんプロの作家としては拙い。でも粘っこく書き込んでいる。

さて、エンディングでほのめかされたささやかな光明は次につながっていくのか?
matuurajunna1.jpg
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  1. 2006-08-31 18:21:32
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いつかパラソルの下で (森絵都)

作者の森絵都は、ヒロインに問題を背負わせて、ありがちなトラウマ的原因(子供時代の家庭環境)をほのめかし、彼女のルーツ(父親)を探す冒険に読者を誘うのだけど、ここからが本番!というところであっさりとすかしてしまう。自分を哀れんで過去や他者に原因を求めても、何も変わらないよ、という意味のどんでん返しで、そこには現実的かつ肯定的なメッセージが込められていて、個人的にはとても共感できるし、コミカルなすかし方は上手いと思う。

また、どのキャラも立っていて、なおかつ心理描写が細やかで、自然と引き込まれてしまうし、独特の居心地の良さがある。

ひっかかるとすればヒロインの設定。彼女はいろいろと問題を抱えているけれど、基本的にはお気楽キャラで、ある部分では問題に対処できているし、なにより恋人に恵まれている。たぶん現実離れさせないために、森絵都は意図的に深刻さの程度を軽くしているようだけど、加減がつかみにくくて、彼女が背負っているものの重さに上手く同調できなかった。
たとえば序盤のセックス描写は、ヒロインの性的な悩みを浮き彫りにすることが狙い、というのは頭で理解できるけど、コンプレックスを克服するためのヒロインのテクニック(?)を読むうちに「この作家もこういう描写をやるのか~」みたいな感慨が先に立って、感情移入の妨げになった。
絲山秋子のヒロインみたいな路線を狙っているとしたら、もうちょっと危なっかしさとか乾いた感じが欲しいかも。

ベタだけど、ヒロインの妹(堅物キャラ)を主人公にした方が、キャラがくっきりするし、笑えるし、メッセージが際立ったかも。もっとも、ベタ過ぎるから、敢えて避けたのかも?
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  1. 2006-08-27 01:54:13
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『のだめカンタービレ』準拠?

ブログの引越しにあわせて、少しは新味を出そうかとクラシック音楽ネタを始めたけれど、たまたまバイロイト音楽祭の開催時期と重なったこともあって、いきなりマイナー路線。こんなつもりではなかったのだけど(笑)

今のところ登録している唯一のランキングサイト「にほんブログ村」で、“本”と“クラシック音楽”の登録数を確認したら、“本”1376サイトに対し、“クラシック音楽”206サイト。
“クラシック音楽”は音楽の1ジャンルに過ぎないから少ないのは当たり前。この数字から考えたのは、本を読むけどクラシック音楽を聴かない人が多数派で、なおかつわたしのブログは“本”からスタートしているから、“本”がらみの訪問者に興味を持ってもらいたければ、クラシック音楽ネタは初心者を意識した方が良さそうだ、ということ。

しかしクラシック音楽の世界はなかなか広大で、いろんな取っ掛かり方がある。その一方で、わたし自身はほとんど誰の手ほどきも受けないで、中学2年生のときに突然思い立って聴き始めたから、体験がどの程度他の人たちの参考になるのか疑問。
そこで周囲を見渡してみると、『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子)という人気漫画に目がとまった。クラシック音楽がたくさん出てくるらしい。ドラマ化も決まったらしい。これ、使えるよね!?

ググッてみると、とっくに『のだめカンタービレ』準拠で作品や音源を紹介しているサイトがひしめいている。それはいい。もともと斬新な発想をしたつもりはないから(笑)。いくつかのサイトをのぞいて、どんな曲が採り上げられているのかチェック。
これが予想外に手ごわくて、聴いていない楽曲がけっこうある。というか、『のだめカンタービレ』は現在15巻まで刊行されていて、かなりの曲数だし、初心者を意識した選曲にはなっていないし、けっこう偏っている。
いずれにしても漫画だからと侮ったのは大間違い!

それに『のだめカンタービレ』準拠のサイト数は予想以上で、いまから『のだめカンタービレ』準拠を謳うなら、ちゃんと原作を読むべき、という気がする。原作を踏まえたコメント書かないと面白くないだろうなぁ。
でも、今のところ『のだめカンタービレ』を読むという選択肢は用意してないから・・・

いや、クラシック音楽ネタでアクセス数大幅アップ、なんて野望はないのだけど、方針みたいなものがないと記事にしにくいし、どうせ方針を決めるなら少しでも気の利いたものにしたい、ということなのだけど。

結論出ないから、先送りにします。バイロイト音楽祭ネタはまだ終わってないし。

他の人の演奏評を読みたくて“2006 バイロイト音楽祭”でググッてビックリ。わたしが3日前にアップした記事が1ページ目の6番目に表示されてる!バイロイト音楽祭って、それほどまでにマイナーだったのか・・・
  1. 2006-08-11 23:45:46
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土の中の子供 (中村文則)

第133回芥川賞受賞作。

スンナリと読み通せたし、主人公の心理描写には説得力があるし、ラストシーンでの主人公のセリフは響いてきたから、悪くはない。でも、悪くはない、止まりかな。読んで損したとは思わないけれど・・・

この人がやろうとしていることはなんとなく分かるけど、それに意味を感じられない。主人公の閉塞感を浮き彫りにする、という演出意図は分かるけど、それをすることで何が生まれるのか?
2005年産だから、よもやトラウマを紹介するつもりではないだろう。題材としては思いっきり鮮度が低い。では、目新しいないしは独自の切り口で料理しているのか?そうでもない。下手とかではないけど、ハッとするものは無い。

独自性よりも、堅実路線で完成度を狙っているような気がするけれど、誇れるほどの完成度はない、と思う。
主人公と同棲相手の関わりなんかはちょっと甘いし、それを言うなら、同棲相手のキャラそのものが弱い。下手とかではないし、演出に工夫が感じられるけれど・・・

『土の中の子供』に現代性は見当たらないから、こういうテイストの小説を読みたければ、昭和の時代の純文学を漁れば、もっと高密度で完成度の高い作品がゴロゴロしていそう。
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  1. 2006-08-11 18:29:36
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ジブリのゲド戦記が不評な件

7月末に公開。Yahoo!の掲示板で評判をチェックしたら、レビュー数2607件と圧倒的な数で、注目度の高さがうかがえる。でも評価はかなり厳しい。5点満点中2.3点。

ちらちらとレビューをのぞいた限りでは、今回初監督の宮崎駿の子息、宮崎吾朗へのダメ出しが多いみたい。でもそれは酷というもの。おそらく彼は実質広告塔に過ぎないから。

ジブリの大看板は未だに高畑勲と宮崎駿。70歳、65歳と高齢であり、共に頑固な職人気質。そして、両者に比肩できる後継者は育っていない。
ジブリというブランドのこれからを考えると、高畑・宮崎抜きでヒット作を生み出せる体制作りが急務。

『ゲド戦記』は、高畑・宮崎後をにらんで、リスクを承知で、ジブリ社長の鈴木敏夫が仕掛けた生き残りへの模索。中堅若手スタッフによる総力戦。
高畑・宮崎抜きだからこそ、それを補うために名作ファンタジー『ゲド戦記』を下敷きとし、宮崎2世を看板に掲げた。

高畑・宮崎を支えてきた鈴木敏夫は、おそらくこの作品の出来をよく分かっているだろう。しかし、不評の懸念があっても、踏みとどまることはできない。それは将来を放棄することでしかない。

その鈴木敏夫にしても60歳目前で、おそらく本人の野心のためではなく、ジブリ社長の職責として、後進のためにやれるだけのことをやろう、というはらではないか。

そういう事情があるとしても、作品の評価に手心が加わるわけではない。状況の厳しさはジブリに限ったことではないのだから。ただ、この試みは始まったばかりだから、長い目で見守りたい。


・・・などと情報通のようなことを書いてしまったけど、全部妄想で~す!映画観てないし、たぶんDVDになるまで観ないし(笑)。
いや、鈴木敏夫のインタビュー記事を参考にしたから半分くらいは本当か?
  1. 2006-08-05 13:40:18
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ホワイトアウト (真保裕一)

この作家はお初です。

おもしろうございました。大型アクション&サスペンスとしては理想的な仕上がりかと。

周到で緻密な設定、予断を許さないストーリー展開。キャラはそんなに立ってませんが、この手の小説として不足はありません。

感心したのは、主人公の描き方。超人的な活躍を見せますが、作者はあくまでも彼の弱さを追い続けます。このパターンって、途中で破綻しがちなんですよ。人並みに弱くて愚かな人物だと思って感情移入しながら読んでいたら、ある時点で唐突にスーパーマンになって読者は置いてけぼり、みたいに。
でも、真保裕一は最後までたずなを緩めません。主人公の迷いや葛藤が丁寧に織り込まれていて、最後まで感情移入が切れませんでした。お見事です。

この手の作品にありがちなご都合主義もほぼ押さえ込まれています。思い当たるのは、主人公の底なしの持久力及び適確すぎる状況判断に、某脇役が犯行に加わった動機ですが、少なくとも読書中に隙間風が吹くような不自然さは感じませんでした。物語は周到かつ注意深く構築されています。

映画版を随分前に観て、そのときは後半激しく失望しましたが、原作は別次元。映画ではヒロインを松島奈々子が演じていて、小説を読みながら彼女の面影が何度か浮かびました。主人公役の織田裕二の顔は浮かばなかったな・・・
whiteout.jpg
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  1. 2006-08-04 20:53:01
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