ぶっき Library... 舞城王太郎

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みんな元気。 (舞城王太郎)

5つの短編~中篇が収録されています。純文学寄りの作品集です。
個々の作品に言及するのは面倒なので(?)、全体的な印象を書きます。

この作品集では、おそらく同世代&下の世代に向けたと思われるメッセージ、生き方とか人との関わりについてのメッセージが強く出ています。もともとはっきりとモノを言うタイプの作家ですが、ここではそれが顕著になっています。作品によっては理屈っぽく、あるいは説教臭く感じられるかも。

また、メッセージをぶち上げるにしても、デビュー間もない頃の作品は、主張内容に増して訴えるパワーの強烈さが前面に出ていました。ギラギラしていました。そういうのに比べると、能弁な一人称語り、ある世代特有(といってもそれなりに幅広い)の言葉遣い、特異なイマジネーションなどの特徴はそのままですが、すべてにコントロールが行き届いています。ある意味パワーダウンですが、洗練度は高まっていて、良し悪しは一概には言えません。いずれにしても、これだけ文章の調子をコントロールできるっていうのは非凡だと思います。

わたし自身は、主張やメッセージより、変幻自在のイマジネーションとか自由闊達な語り口を楽しみたい。そういう意味では、理屈っぽい『我が家のトトロ』『スクールアタック・シンドローム』とかは、それなりには楽しめたけど、イマイチ好みではありませんでした。
一番楽しめたのは表題作『みんな元気。』。これにも明確なメッセージがありますけど、それがしゃしゃり出ていません。話し言葉的な楽しさが満喫できるし(とりわけポップな会話)、絵的な面白さも抜群。まあ、アニメ的なイメージなので好き嫌いはあるでしょうけど。この作家の良さ(わたしにとっての)がよく出た作品で、舞城作品の中でもかなり好きです。
主人公の奇妙なキャラ設定の可笑しさで『Dead for Good』。笑えました。
minnagenki.jpg
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  1. 2006-05-02 09:31:53
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好き好き大好き超愛してる。 (舞城王太郎)

『好き好き大好き超愛してる。』『ドリルホール・イン・マイ・ブレイン』の小説2編とイラスト集が収録されています。

この作家の並外れた才能はここでも十分に発揮されています。畳み掛けてくる能弁な語り口、奔放に飛躍するイメージ。好き嫌い、認める認めないは別にして、その非凡な才能には圧倒されます。

【好き好き大好き超愛してる。】
恋人が死んでいく、という題材を用いた複数の物語が変奏曲風に連携させられて、作品全体として“愛”が語られています。ただし、複数の物語のうちの一つがブッチギリのメインなので、取っ掛かり難さはありません。

この作品の一人称語りは、語り手が見たり聞いたり感じたことを臨場感豊かに描くことよりも、それらを受けて思索したことの語りに軸足が置かれていて、情緒とか感傷よりも理屈とか観念が前に出ています。
わたしは情緒にひたりたい派なので、理屈っぽさをうるさく感じました。テーマの一番大切なところを描くより語ってしまっているので、言葉の圧力は感じるけど「愛」がこちらに響いてきません。

複数の物語を変奏曲風に連携させる演出は凝っていると思うけど、連携のさせ方が観念的なので、イメージが鮮やかにオーバーラップしていきません。メタ化しているのかもしれないけど(てか、メタ化って何?)、ただの数珠繋ぎ。複数のイメージが奇麗にオーバーラップしないもどかしさは『阿修羅ガール』(別掲)でも感じました。
想像力が貧困な作家ではないけれど、イメージよりも言葉とか観念で物語を構築していく傾向が強そう。

中身は読ませます。そんじょそこらの純愛小説(?)とは一線を画しています。
死別してしまったら永遠の愛なんてほぼありえないんだけど、だからこそそれを強く願わずにはいられない、という純愛の形に共感しました。
ただし、これだけ「愛だ!祈りだ!」と吼えるわりに胸に迫ってくる感じが乏しいのは、執筆時点でのこの作家の限界を示しているのかも・・・

【ドリルホール・イン・マイ・ブレイン】
こっちには持って回ったような理屈はなくて、ひたすらに言葉と過激なイメージが疾走しています。自分の内臓をかき回されるような気持ち悪い過激さが満載。『九十九十九』(別掲)より気持ち悪いかも。

二人というか二つの人格が語り手をつとめていて、「俺」「僕」で描き分けられています。「俺」「僕」が唐突に入れ替わるし、語りのリズムが同じなので混乱しやすいかも。

「またこのパターンか・・・」と思わないわけではないけど、舞城作品でしか味わえない貴重なテイストです。
sukisukidaisukityoaisiteru.jpg
  1. 2006-05-02 09:31:18
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山ん中の獅見朋成雄 (舞城王太郎)

『群像』に掲載された純文学らしい。ということは別掲の『阿修羅ガール』と同じ路線ということか。

読みやすかったし、特に主人公が異世界(天関堂)に入ってからはグイグイと引き込まれた。読ませる力はここでも健在。でも、読み終わったときは「あらら!?」って感じ。オチがついてない。気を取り直してストーリーを反芻してみた。人間のアイデンティティーを扱った作品ぽいのだけどこれは好意的な解釈で、見方によっては単なる出来損ないのファンタジー小説。読者に“好意的な解釈”を要求するというのは、小説としては失敗してるんだろうなぁ。

ツッコミどころはいくつかあるけど、何よりも物足りなかったのはこの作家らしいパワーが感じられなかったこと。
現時点でのこの作家の価値は、完成度や上手さよりも、自由奔放に解き放たれた強烈な表現意欲が生み出すナマモノ感にあると思う。いろいろ引っかかるところがあっても、ツッコミ入れる気持ちを吹き飛ばされてしまう。
しかるに、この作品では整えようという作者の意図が感じられて、パワーとかドライブ感はトーンダウン。かと言って、完成度や上手さがそれを補うほどではない。ひょっとして純文学系の関係者に日和ったか?

そんな中で収穫だったのは、これまでの作品では動的な描写ばかりが目立ったけど、ここでは静的な描写も光ってる点。もともと浸透力のある文章を書く作家だけど、この作品では全般的にすっきりとして落ち着いた文体が効果的で、特に異世界(天関堂)での生活の描写は印象的。他の長編作品と一味違う。新境地かも。
yamannakaxsimitpmonaruo.jpg
  1. 2006-05-02 09:30:50
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阿修羅ガール (舞城王太郎)

全文ネタバレです。

三島由紀夫賞受賞作だそうです。文壇の賞には疎いのですが、この作品は純文学路線っぽいです。
過去の作品でも内省的な要素は色濃いですが、ミステリーと抱き合わせでした。この作品にはミステリーの要素は無くて(事件は起こるけど)、女子高校生アイコの臨死体験を通じての内面の成長ないしは変化が描かれています。

アイコの臨死体験前後のコントラストをどこまで鮮やかに演出できるか、が重要なポイントと思います。
第1部が臨死体験前、第2部が臨死体験そのもの、第3部が臨死体験後という構成ですが、第3部がいささか不完全燃焼気味。おそらく、第1部、第2部と高いテンションで畳み掛けて、ラストの第3部は一転して穏やかかつ爽やかに〆るという構想でしょう。構想としては“あり”なのでしょうが、第3部は説明的だし生硬さを感じました。心境の説明で終わらせないで、エンディングに相応しくグッと来る場面を設定して欲しかったです。それと、第2部の解説を第3部でやっているのは興醒めかも。解説無しで演出で表現するのが小説だと思います。

第2部も物足りませんでした。『崖』『森』『グルグル魔人』の3つの章からなっています。気になったのは『崖』を除く2つの章。
『森』は、それ自体は迫力があったけど、他の章とのつながりをもっと効果的に演出して欲しかったです(人物はつながってるんだけど)。臨死体験の1つにこういう残酷童話的な場面を設定する発想は面白いと思いますが、かなり浮き上がり気味。何かのアイテムやイメージを第1部に伏線として仕込むなどの仕掛けがあれば、さらに効果的になったと思います。
『グルグル魔人』では猟奇殺人犯の扱いの弱さが気になりました。この人物はアイコの内面の成長ないしは変化に大きな影響を及ぼしたはずですが、アイコとの相克がキッチリ描かれていないので盛り上がりません。第3部の説得力不足の原因にもなっています。ここでは駄目押し的に盛り上げて欲しかったです。そうすると、第3部の入りも効果的になったと思います。

新生アイコの導き手である桜月淡雪という人物の扱いも弱く感じました。重要な役回りでありながら、役作り不十分なまま舞台に飛び出してきたような中途半端さ。滅茶苦茶浮いてました。

第1部と第2部第1章の『崖』はこの作家らしくパワフルで直線的な筆致を堪能できます。
わたしは女子高校生の心理に詳しくありませんが、同じ時期に金原ひとみ氏の『アッシュベイビー』を読んだせいか、第1部のアイコのトークはごく自然に感じられました(第3部になると理屈っぽくなりますが・・・)。第1部のためだけでもこの本を手に取る価値はあると思います。
第2部の『崖』ではこの作家の豊かなイマジネーションを楽しめました。

全体としてはぎこちなさが目につきますが、新たな一歩を記した作品ということでしょうか。
ashuragirl.jpg
  1. 2006-05-02 09:30:31
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暗闇の中で子供 (舞城王太郎)

舞城作品はこれで4作目。『煙か土か食い物』の続編です。
もともと破天荒なストーリーですが、特に終盤に爆裂します。たまたま『九十九十九』を先に読んでいたので驚きはしませんでしたが(壊れ方が似ているので)、もし『九十九十九』を知らずに読んでいたら、眩暈にも似た感覚を味わえたかも。

ただし、冷静に読めたのは慣れの影響だけではないかもしれません。この作品の語り手は、前作『煙か土か食い物』の語り手の兄貴で、内向性なキャラなのですが、舞城王太郎が繰り出す歯切れの良い語りのリズムが、いまひとつキャラにマッチしていないような・・・それに、彼のキャラ自体が分裂気味で、雑然としていてつかみにくい。どうもこの人物に入り込み切れませんでした。
また、トマス・ハリスを読んでいないので(映画も観ていない)、しばしば彼の作品が引用されるのはウザかった。

でも、一気に読ませる力は相変わらずです。

エンディングはかなり極端な投げっぱなしで、もちろん確信犯なのでしょうが、これは少しやり過ぎかも・・・いろいろな要素が散乱したままの幕引き。
kurayamixnakaxkodomo.jpg
  1. 2006-05-02 09:30:03
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煙か土か食い物 (舞城王太郎)

『世界は密室でできている。』『九十九十九』を先に読んでいたので、語り口や過激な描写には驚きませんでしたが、それでも強烈に引き込まれ、一気に読みました。

作品中で主人公が作家の兄に対して「・・・人の心本当に掴もうと思うたら自分のことリアルに書くんや。自分の大事なもん惜しげもなく切り売りしてしまうんや。・・・」と意見をぶつける場面がありました。これこそ舞城氏がやろうとしていることなのでしょう。こういうタイプの作家は執筆時期ごとの魅力がとりわけ大きくなります。『煙か土か食い物』には、若い作家が若者を描いたとき特有の直線的な勢いとか鮮烈さが感じられます。

謎解きは直感と連想主体で進められるので、読者が謎解きを楽しむタイプのミステリーではありません。作品の構成としては、伝統的なミステリー小説の構造を流用しながら、本筋としては主人公の家族に向ける心情の変化を描いた作品ということになりそうです。そうであるなら、謎解きの部分に凝らないで、暴行致死事件を軸とした人間ドラマとして描いた方がスッキリとしてバランスよくまとまったと思います。主人公による謎解きがあろうとなかろうと、ドラマとしての感銘に大差なかったはず。でも、図入りで犯行やトリックを説明するくらい作者は謎解きにも入れ込んでいます。
ミステリーと人間ドラマの“融合”はこれまでも多くの作家が試みてきましたが、この作品では敢えて“融合”させないで“混在”くらいにとどめている感じで、それでいて強烈な主人公の一人語りによってそれなりの統一感を生み出しているところがユニークです。他の人が真似しても、この作家並に語る力が無いと失敗してしまいそう。

主人公の家族をめぐる人間ドラマはシンプルだけど勢いと説得力があって、一部に物足りなさは残ったけれど、ラストは感動的ですらありました。家族の葛藤なんて明治時代から使い古されてきたテーマですが、過激でユニークなキャラ設定と借り物でない自分の言葉による熱い語りで、新鮮に感じられました。
ちょっとした会話やエピソードで登場人物のキャラを引き立たせる描写は適確で手際がいいです。また、勢いに任せて書かれているようでありながら、物語がすんなりと読者の頭に入るように整理されています。

ミステリーの部分に関しては賛否ありそうですが、独自のスタイルがあるので、出来不出来より好き嫌いが大きいと思います。物語は実質的な続編である『暗闇の中で子供』に引き継がれるので、この作品単独だとエンディングが部分的に弱く感じられるのは止むを得ないところでしょう。
kemurixtutixkuimono.jpg
  1. 2006-05-02 09:29:40
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九十九十九 (舞城王太郎)

清涼院流水氏のJDCシリーズの設定にあやかった作品とのことです。といっても、清涼院流水氏の作品は読んだことありませんが・・・
それでも、読み進む上でほとんど支障を感じませんでした。

小説内小説を駆使した複雑な構成で、正確に人物の相関関係や筋書きを理解しようとすると、メモをとりながら読まないと混乱します。しかし、そうしたところでやっぱり混乱してしまうでしょう。何が現実で何が作り話なのか?そもそもこの作品に現実が存在しているのか?
そのうえで、読み手は奇怪で暴力的でグロテスクなイメージと能弁な言葉の奔流に翻弄されます。作者は無尽蔵とさえ感じられるスタミナでそれらを吐き出し続けます。
おそらくJDCシリーズという既存の設定が前提にあるせいでしょうが、冒頭から破壊的なエネルギーが渦巻いています。一旦小説内の世界を構築してから破壊するのではなく、最初から壊しにかかってます。そしてそれが息切れすることなく最後まで続きます。パワフルな舞城作品の中でもひときわ圧倒的な印象です。

こうなると支離滅裂になってしまいそうですし実際破綻寸前に見えますが、各小説内小説の登場人物が統一されていること、キーとなる言葉やイメージや思考パターン(飽くなき見立てごっこ)が統一されていることなどから、混乱しながらも意外なくらいスムーズに読めてしまいました。
破天荒に進行させながら、最終章に至って主人公の内面的な覚醒のドラマとして力ずくで締めくくってしまう豪腕もこの作家ならでは。もっとも、読者を持ち受けているのは感動というよりも唖然・呆然。

今のところ、わたしにとっての舞城作品の魅力は、言葉とイメージの奔流と、既存の価値観や様式感に対する破壊衝動。荒削りながら、『九十九十九』はその最右翼に位置する作品です。
tukumojuku.jpg
  1. 2006-05-02 09:29:13
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