ぶっき Library... 古川日出男

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ベルカ、吠えないのか? (古川日出男)

古川日出男とは相性が悪そうなので、『アビシニアン』で読むのを止めようと思っていたのですが、やけに評判がいいので、魔がさして本書を手に取ってしまいました。が、結果は案の定でした。

犬たちが主要な役割を果たすリアル系(ファンタジーや戯画的な風刺小説では無い、という意味で)の物語となると、彼らの実体感をどう表現するのか!?に注目してしまいます。
ところが、この作品は安直に犬に人間流の思考をさせていて、しかも思考内容は、子供時代に少年漫画誌で読んだことがあるようなベタな擬人化。極端に人間臭くなっているわけじゃないけど、文学的創意みたいなものは感じられなくて、肩透かしでした。
もっとも、ここまでの作品で示された筆力から考えると、客観描写だけで動物の実体感を生み出すのは難しそうだから、この作家にとっては妥当な選択なのかも。

勢いのある独特の文体は個性を放っているけれど、たとえば《老人だった。年老いた男だった。》みたいな安直な言いかえとか反復が目白押し。話し言葉なら(芝居のセリフみたいな)ともかく、書き言葉である小説の言い回しとしては安っぽく感じられます。
これはひとつの例で、個性的な文体の使い手だけにこだわりがありそうだけど、言葉に対するセンスは好きになれません。

もともと精密な設定とかリアルな描写で勝負するつもりはなさそうだから、その意味で自分の批判が的外れであることは承知しているつもりだけど、それでも否定的になってしまうのは、(わたしから見て)失われたモノを補うだけのプラス要素が感じられないから。これは相性なのか?似たような小説が氾濫する中、強い表現意欲を持った魅力的な作家だとは思うんですけどね・・・
belkahoenanoka.jpg
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  1. 2006-05-02 01:00:57
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アビシニアン (古川日出男)

野良化した元飼い猫と公園で共生する家出少女、彼女の面倒を見るダイニング・バーの女性オーナー、そしてそのダイニング・バーの常連客である男子大学生の触れ合い(?)を描いた作品です。

3つの章に分かれていて、1~2章はなかなか快調でした。第1章は、例によってディテールは薄めですが、主人公の行動から眼が離せませんでした。第2章は、後半少し薄く感じられたけど、最終章(第3章)しだいかなぁ・・・というところ。
しかしその第3章はわたし的に×でした。不調ということではなくて、むしろこの作者ならではの畳み掛ける語りがここぞとばかりに繰り出されてきますが、さっぱり響いてきませんでした。

一番ひっかかったのは、野良猫と共生した主人公が野生的感性を身に付ける、という展開になっていますが、ディテールに説得力がないので実感が伴わないこと。それどころか、人間とのコミュニケーションは出来るくせに文字は読めないとか、衣服を体毛と呼んだりとか、そういう表面的なことばっかりで、安っぽくてがっかり。これでは発想の面白さがぶち壊し。
それと、ダイニング・バーのオーナーの生き様の部分が駆け足で、モノローグ調だけど説明じみていて、さっぱり浸透してきません。

文章にも違和感があって、饒舌な文体の圧力で押し切ろうとする構えのようですが、これだけの言葉の圧力を生み出す能力は凄いと思うけど、一言一言が軽く薄く感じられてしまうのですね。流行り歌の安っぽい歌詞みたいな。最後の「愛してる」三連発なんか典型的・・・
abisinian.jpg
  1. 2006-05-02 01:00:27
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サウンドトラック (古川日出男)

長大な作品で、奇想が充満していて、饒舌かつ勢いのある文章は読む者を圧倒します。天性の作家と思わせるパワーが伝わってきます。

でも素晴らしいのはここまで。

各エピソードは、着想は新奇で面白いのだけれど、話が膨らんでいかない。文章は活き活きとしているけれど、その中身はいたって説明的で、読み手の感性に浸透してこない。
たとえばヒロインの羊子のダンスは見る者に強烈に作用するという設定なのだけれど、伝染・増殖していく過程がエピソードとして時系列的にダラダラ語られているだけで、ダンスの魔力もそれが引き起こしたうねりも文面からはまったく伝わってこない。

そしてキャラクターも設定の面白さで終わっている。キャラそのものは立っていないし、主役の二人がちゃんと絡まないから、ドラマとして今ひとつ盛り上がってこない。

文体はとても面白いけれど、言葉の選択がかなり雑で、個人的には好きになれませんでした。

結局、耐えられなくなって、後半は斜め読みになってしまいました。
もしこの作家が、マシンガンのような饒舌さを抑えて、描写力と構成力を主体に勝負したらどうなるのでしょう?
soundtrack.jpg
  1. 2006-05-02 00:59:59
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アラビアの夜の種族 (古川日出男)

ルビの振り方を見ただけでも文体への相当なこだわりが伝わってくるけど、そのわりに雰囲気の演出とか文章のリズムや緩急の手綱捌きはパッとしません。粘着的で、冗漫で、回りくどくて、晦渋。腕の良し悪しというよりも、この作家の体質から来ているような気がする。あんまり好きなタイプの文章ではありません。

そして、この作品ではそれが裏目に出ていると思った。ストーリーが加速していく後半はいいけど、じっくりと進行する前半は足を引っ張っていたと思う。作者自身は序文で「出来る限り粉飾的な日本語化を意図した」とことわっているけど、粉飾的というよりも言葉の塗り壁みたいになっていると思う。
アラビアン・ナイト風の薫るような幻想性・官能性を期待したけど、文体のせいで和風怪奇譚みたいな雰囲気になってます。欠点というか、この作品の持ち味なのかな?

文章の取っ付き難さもあってじっくりと運ばれる前半はしんどく感じましたが、後半に入ってストーリーが加速し始めると俄然面白くなりました。休み休み読んだ前半とは対照的に一気にもっていかれました。
作品中で語られる冒険譚だけでも面白いのですが、全体が凝った多重構造のメタフィクションになっていて、巧みな構成に唸らされました。さらに、物語は書物と人間の関係(著者として、読者として)をキーに引き回されていますが、古川氏の作家としてのこだわりとか思い入れが垣間見えるようで刺激的でした。

現代風に砕けた口調の台詞回しがポンポン飛び交います。面白い趣向と感じました。こういうのは、どうせやるならニンマリ出来るくらいあざとくやった方がいいと思う。前半は生硬な感じで中途半端でしたが、後半はノリが良くなって楽しめました。

最終的には前半の忍耐が報われるだけの楽しさが得られました。
arabiaxyoruxshuzoku.jpg
  1. 2006-05-02 00:59:29
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ボディ・アンド・ソウル (古川日出男)

「え!?」と言わせる仕掛けはあるものの、それはオマケみたいなもので、作者に限りなく近そうな主人公の日常と世間話と独り言と一人芝居で大半が占められています。
作家の日常は興味深いものの、それだけでは間がもたないし、主人公と趣味が合わないので作中の会話や独り言に興味が持てませんでした。

息切れすることを知らないかのような饒舌な語り口に作者の力を感じますが、語り口自体は野暮ったく感じられてノレません。歯切れの良い口調や体言止めとかを多用してテンポ良く書き進もうとしているようだけど、いたるところで粘っこさや気まぐれが顔を出してリズムを乱しています。文章の流れがしょっちゅう澱むので、推進力は弱いしキレも今ひとつ。読んでいて気持ちよくなれませんでした。

この作家に思い入れがあるとか、興味のベクトルが似通っているとかでないと、読み通すのはきついと思います。せめて短編だったら・・・
bodyxsoul.jpg
  1. 2006-05-02 00:58:58
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