ぶっき Library... 戸梶圭太

ぶっき Library...
読んだものの感想を自由に。



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. -------- --:--:--
  2.  スポンサー広告
  3.  |
  4.   Top ▲ Home

溺れる魚 (戸梶圭太)

作品の持ち味は別掲の『なぎら☆ツイスター』と似通っています。なので、そちらを参照していただく前提で、違う点を列記します。

『溺れる魚』にはミステリヘーの要素は入っていなくて、その分バイオレンス色が前面に出ています。登場人物の設定は、警察、ヤクザ、過激派、前衛芸術家、企業の役員と、こちらの方が一層バラエティーに富んでいます。

前半は、内部の不正を扱った警察小説的な雰囲気で進んでいきます。これと企業への脅迫事件が絡んで、一見シリアスな雰囲気が漂っています(ブラックな笑いは散見されますが・・・)。後半に入るや、一気にこの作家らしい暴力的で下品で猥雑なノリが炸裂し、怒涛の勢いでラストになだれ込みます。このギャップがなかなか効果的です。

(以下ネタバレ)
最初は不正を正す立場として描かれていた監察側が、後半のドタバタの中で警察のエゴと保身のための組織という実体(あくまでも小説の設定としての実体)を露呈していきます。義憤とか苦い後味が残りそうなものですが、小説に描かれている世界があまりにもエゴと欲望むき出しなためか、はたまた次々と繰り出されるエグイ描写の毒気に当てられたのか、そういう意味での後味の悪さはありませんでした。立場は違えどみんな等しくエゴと欲望のために生きているだけ、という小説内の世界観に汚染されていたのかもしれません。
好悪は別にして、自分の世界を持っている作家と思います。
oborerusakana.jpg
スポンサーサイト
  1. 2006-05-01 19:27:09
  2.  戸梶圭太
  3.  |
  4.  Trackback(1)
  5.  Comment(0)
  6.   Top ▲ Home

なぎら☆ツイスター (戸梶圭太)

なぎら(=那木良)という田舎町を舞台に、一癖二癖ある胡散臭い登場人物たちがドタバタのバトルを繰り広げます。本格的なものではありませんが、ミステリーの要素も入っていて、最後の最後で落ちがつくようになっています。

まずはスピード感のある展開と猥雑な描写が目を引きます。
バイオレンス・シーンのスピード感は迫力があります。格闘シーンも然りですが、カーチェイスのシーンには感心しました。1つのシーンで、複数の当事者に視点を切り替えつつ、しかもスピード感を感じさせるという離れ業をやってのけています。この手のシーンにありがちな活字のハンディを感じさせません。
エロ・グロについては好き嫌いがはっきり分かれそうですが、いかにもという演出ではなく、板に付いた感じで自然にストーリーに散りばめられているので、読み進むうちに感覚が麻痺してしまいました。こういうのが好きということは無いのですが・・・

徹頭徹尾暴力的でお下品な小説ですが、作者のユーモアのセンス(主にブラックですが)とバランス感覚が作品を安っぽくしていません。
舞台となっている田舎町の人々に対する嘲笑的な笑いが目立ちますが(不快に感じる人もいるでしょう)、主人公を含めた東京のエリート(?)ヤクザたちもしっかり笑いの対象に入っていて、ドタバタ喜劇としての可笑さにつなげられています。だから、ブラックではあっても後味は悪くありません。
また、基調はバイオレンスと猥雑さですが、前述のユーモアとか、ちょっといい話なんかも織り込まれていて、バランスの良さとうまさを感じます。
この作家で感心するのは幕引きの上手さです。ハッピーエンドとバッドエンドの間の微妙な地点にうまく着地させます。カタルシスが得られる程度にはハッピーエンドだけど、「世の中そんなに甘くない」と納得できる程度にバッドエンドが混ざっています。滅茶苦茶のようでありながらしっかりツボを押さえていて、心憎いです。
これらのことは狙ったから出来るというものではないと思いますが、何気なくやっているように見えます。こんなところに、この作家のセンスの良さを感じます。

この作品の猥雑さが受け入れられるなら、第一級の娯楽作品として楽しめると思います。
nagiratwister.jpg
  1. 2006-05-01 19:26:07
  2.  戸梶圭太
  3.  |
  4.  Trackback(0)
  5.  Comment(0)
  6.   Top ▲ Home

最新の記事

カテゴリー NAVI

全体(HOME)

読書系
あ行
浅倉卓弥 (3)
浅田次郎 (5)
我孫子武丸 (2)
阿部和重 (7)
綾辻行人 (4)
有栖川有栖 (5)
伊坂幸太郎 (9)
いしいしんじ (3)
石田衣良 (2)
市川拓司 (4)
伊藤たかみ (2)
絲山秋子 (5)
歌野晶午 (7)
冲方丁 (2)
浦賀和宏 (3)
大江健三郎 (2)
大崎善生 (2)
小川洋子 (2)
荻原浩 (7)
奧泉光 (3)
奥田英朗 (3)
恩田陸 (2)

か行
垣根涼介 (4)
角田光代 (2)
金原ひとみ (3)
川上弘美 (2)
貴志祐介 (5)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (2)
栗田有起 (4)

さ行
重松清 (2)
島本理生 (3)
殊能将之 (4)
白石一文 (4)
瀬尾まいこ (3)

た行
多島斗志之 (3)
戸梶圭太 (2)

な行
中村航 (2)
二階堂黎人 (2)
西尾維新 (3)

は行
東野圭吾 (5)
樋口有介 (3)
古川日出男 (5)
保坂和志 (2)
堀江敏幸 (2)
本多孝好 (2)

ま行
舞城王太郎 (8)
松尾スズキ (2)
町田康 (3)
松岡圭祐 (3)
麻耶雄嵩 (5)
三浦しをん (2)
三崎亜記 (2)
水野良 (5)
宮部みゆき (5)
村上春樹 (15)
村上龍 (3)
森絵都 (3)
森博嗣 (7)

や行
横山秀夫 (2)
吉田修一 (3)
吉村萬壱 (3)
米澤穂信 (3)

わ行
綿矢りさ (2)


その他の作家 (44)


海外の作品 (9)



雑談系

このブログについて

最近のコメント

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

最近のトラックバック

※ ポインターをあわせるとタイトル表示

リンク



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

ブログ検索

運営者

ひねもじら 乃太朗

40代の中年男子です。コメント、トラックバック大歓迎です。でも、変なのは消しちゃいます!

メールを送る
管理者ページ





Powered By FC2ブログ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。