ぶっき Library... 殊能将之

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キマイラの新しい城 (殊能将之)

ネタバレです。

キャラはそれなりに立っているし、ひねりのある展開で飽きさせないし、バイオレンス・シーンなんかもあったりして、スイスイと読めました。そういう意味では面白かったのですが、多少スッキリしないものが残りました。
こういう後味が残るのは「こうして欲しかった」という無い物ねだりの心境になっているときです。

成仏のきっかけを求めていた亡霊稲妻卿が探偵石動のインチキ推理になし崩し的に納得して昇天する、というオチ自体は面白かったのですが、数百年越しの妄執が晴れる展開なのだから心に響くような味付けが欲しかった。あっさりし過ぎなんですね。亡霊稲妻卿は面白いキャラなのだけど、設定としての面白さに止まっています。もっと奥の深い人物像にして欲しかった。そうすると爽やかな感動が加わったはず。

それと前作『鏡の中は日曜日』(別掲)に登場した水城を出したのは余計だったと思います。というのは、どうせインチキ推理で落とすのだったら、石動お得意のひねりの効いた迷推理で笑わせて欲しかった。水城の再登場自体が笑えるのかもしれないけど、個人的にはもっと作り込まれた笑いが好きです。

楽しい読書が出来たけど、後に残るものは乏しいかな?
kimairaxsiro.jpg
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  1. 2006-05-01 16:12:04
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鏡の中は日曜日 (殊能将之)

石動戯作シリーズ第三弾。

『鏡の中は日曜日』は前作『黒い仏』(別掲)と同じく“ちゃぶ台ひっくり返し”小説(参照『巨人の星』)です。『黒い仏』ではちゃぶ台のひっくり返し方が手ぬるく感じられて辛く当たってしまいましたが、こちらの方は楽しませてもらいました。どんでん返しの構図は滅茶苦茶ベタなのですが、周到な仕掛けで大きな効果を引き出しています。一本取られました。

驚きの大きさもさることながら、推理小説の虚構性を揶揄するような仕立てもなかなか毒があって楽しめました。
実際に起こった事件に基づく推理小説の検証に迷探偵石動戯作が乗り出しますが、事件の真相が明らかになるにつれて推理小説の虚構性(作り物っぽさ)が露呈されていきます。綾辻行人氏の館シリーズをパロっているところがミソ。しゃあしゃあと巻末の参考文献に館シリーズ(当時の既刊)が連ねられています。
しかし、綾辻作品への揶揄というよりは、綾辻作品を通して、そこに集約されている推理小説の定番的パターンをいじって楽しんでいる感じ。辛辣さのない明るい毒です。エンディングは推理小説への愛を感じさせる粋な演出。

事件の謎解きはかなり緩めですが、この作品に関してはこれがメインではないので気になりませんでした。
kagaminonakaxnitiyobi.jpg
  1. 2006-05-01 16:11:42
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黒い仏 (殊能将之)

ネタバレです。

石動戯作シリーズ第二弾。

本格ミステリーとサイキック・ホラー(なのか?)の抱き合わせなんですけど、中盤までは本格ミステリーと見せかけておいて、後半でサイキック・ホラーに変貌させて本格ミステリーの構図をひっくり返してしまう、という一種の“ちゃぶ台ひっくり返し”小説(参照『巨人の星』)です。

前作『美濃牛』より贅肉が削ぎ落とされていて、最後まで一気に読ませてくれました。特に後半は予断を許さない展開。面白かったです。

ただし後味は物足りなかったかな。
このタイプの作品は、どれだけ読者を驚かせ、混乱させるかが勝負だと思うんですよね。半ば過ぎ頃に突然サイキック・ホラーに切り替わったときはニンマリだったけど、その後はヒネリがないままありがちな結末に。いまどき星新一氏のショートショート並みのケレンを長編でやられてもなぁ~
“ちゃぶ台ひっくり返し”小説としては『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午氏)、超常現象を交えた本格ミステリーとしては『生ける屍の死』(山口雅也氏)といった秀作を現代の読者(てか、わたしのことなんですけど・・・)は体験してしまっているわけで、それらに比べて『黒い仏』は芸が足りないと思いますよ。まあ、出版の順番では『葉桜の季節に君を想うということ』の方が後なんですけどね。

石動戯作の迷推理に合わせて犯人たちが時間を遡って事実を書き換えてしまう、で終わってしまったのがなんとも残念。これだけだったら驚きが少ない。
どうせなら、石動戯作がさらなる迷推理を繰り出して、そのせいで犯人たちの時間旅行+事実改竄のロジックが破綻して、風が吹けば桶屋が儲かる式に人類が戦いに勝利してしまう、くらいのことはやって欲しかったです。毒を食らわば皿までも、ですね。
kuroihotoke.jpg
  1. 2006-05-01 16:11:19
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美濃牛 (殊能将之)

殊能氏の二作目にして石動戯作シリーズ第一弾。

わたしは横溝正史氏の長編をほとんど読んでいるのですが、推理の部分より雰囲気作りとか盛り上げ方が好きだったりします。特に地方を舞台にした作品群。一線を超えてしまったコテコテさと時代性があいまって、ほとんどファンタジーです。推理部分の満足度に関わりなくトリップできるのが何より!

『美濃牛』はそんな横溝作品のへオマージュ(賛辞)的な作品。おなじみの舞台装置が数多く登場します。僻村、洞窟、わらべ唄、芝居がかった地名、猟奇的殺人などなど。心地良い懐かしさを感じさせるラインナップです。
でも雰囲気はまるで違います。明るくてコミカルで現代的。そして、知的というか才走った感じ(でも嫌味は感じない)。横溝作品にありがちな異世界に足を踏み入れるような感覚はありませんが、これはこれで個人的には好ましい持ち味です。

そこそこボリュームがある作品ですが、序盤から中盤にかけてはしばしば謎解きの本筋から外れた知的な遊び(俳句とかその他諸々の薀蓄話)があって、冗漫と言ってもいいくらいなのですが、平明な表現でテンポ良く語られているせいかそれなりに楽しめました。こうした遊びが良くも悪くもこの作品の大きな特徴になっています。
さすがに再読のときは間延びを感じましたが。

終盤は洞窟巡りの場面があったりと緊迫の色を帯びますけど、名作『八つ墓村』あたりと比べてしまうとご愛嬌。手短にまとめてるから、このシーンで勝負するつもりはないんでしょうけど。比較しなければこれはこれでほどほどに盛り上がっているように感じられますが、比較しろと言わんばかりの仕立てなので・・・。

キャラは総じて活き活きと表情豊かに描かれていて、この作品最大の魅力と言ってもいいくらい。
ただし、犯罪の舞台となった羅堂家の面々のキャラが薄口で類型的なのはちょっと物足りませんでした。犯罪のインパクトが弱く感じられたことの一因かも。描きすぎると読者に手がかりを与えることになってしまうから、サジ加減が難しいのでしょうけど。

ちなみに謎解きは「あ、なるほどね」くらい。
本格ミステリーの側から眺めるとちょっと間延びしているような気がします。謎解きの論理が、と言うよりも一連の事件の演出が。持ち味と言いつつも、遊びの部分が過剰かも。
でも、活き活きとしたキャラの造形とか練れた語り口の点では、一般的なミステリー小説の水準を軽く超えているんじゃないでしょうか。
minogyu.jpg
  1. 2006-05-01 16:10:51
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