幼児失踪事件にからめて一人の女性の生き様が描かれています(たぶん)。
丹念で厚みのある文章が圧倒的。気持ちがすさんでくるような作品世界なので、好き嫌い分かれると思うけど、読み応えは十分。個人的には、あんまり好きな作風ではないですけど・・・
残念ながら、最終章は策に溺れた感じ。ミステリー仕立てとはいえ、この作品が素晴らしいのは考え抜かれた丹念な心理描写なのだから、妄念のために視野狭窄に陥っていた主人公が自分を見つめなおして氷解していく、という線で正面から押し切って欲しかった。こういう小手先で捻ったような幕の引き方は、そこまでの堂々たる筆致に相応しくないと感じました。
- 2006-05-01 11:52:10
- 桐野夏生
-
|
-
Trackback(0)
-
Comment(0)
-
Top ▲ Home
主婦を主人公にしたハードボイルドです。基本的にはハードボイルド風ですが、とにかく人物の描き方は念入りで、内面にまで粘っこく入り込んでいます。そのせいでスピード感はありませんが、緊張感と説得力で読み手の気持ちを逸らしません。
4人の主婦たちの内面描写が圧巻です。四者四様の心の闇や彼女たちが犯罪に身を染めていくプロセスが生々しく描かれていて説得力抜群。後半の主人公が追い詰められていく場面も迫真的ですが、一番怖いのはこの4人の主婦たちの内面描写でしょう。どこにでもいそうな普通の主婦たちがあるきっかけから凶悪犯罪に身を染めていく、と言葉で説明するのは簡単ですが、それを小説として違和感無く描破してしまう桐野氏の手腕には舌を巻きました。
予断を許さないストーリー展開も光っています。最終的には外部の敵と決着をつけることになりますが、真の敵は彼女たち自身の中にあります(性格の弱さやエゴや結束のほころび)。その危うさが臨場感たっぷりに描かれていて、すっかり引き込まれてしまいました。

- 2006-05-01 11:51:47
- 桐野夏生
-
|
-
Trackback(0)
-
Comment(0)
-
Top ▲ Home