ぶっき Library... 垣根涼介

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ワイルド・ソウル (垣根涼介)

この作家の作品は4つ目ですが、これまで読んだ3作品とは桁違いの力作でした。

戦後日本の移民政策を糾弾しているので、社会派小説ということになりそうですが、確かに前半はそれっぽい重厚さがありますが、後半に入ると、他の作品に比べれば腰の据わった筆致ながら、この作家らしい軽快感やスピード感が強まって、ラストはなかなか爽やかです。

移民の艱難辛苦が重厚かつスケール豊か描き出される前半は、面白いかどうかは別にして手応えがあります。力の入りようがダイレクトに伝わってきます。こういうのも書けるのかと感心しました。
それで、ついつい圧倒的なクライマックスを期待してしまうのですが、残念ながら圧倒的と言えるほどには盛り上がりませんでした。
最大の原因は、移民政策の犠牲者たちが日本政府への報復を図るのですが、この肝心の報復がかなりしょぼい。また、報復が順調に進み過ぎてドキドキハラハラが乏しい。最大のピンチが色恋沙汰というのは・・・
また、敵役が漠然としていて対立の構図が不鮮明なのもマイナスです。報復の対象は日本政府ということで、大掛かりではあるものの、的が絞られず、敵方の顔が見えてきません。工夫の余地がありそう。

『ワイルド・ソウル』に限らず、この作家は感情や本能むき出しの生々しい描写を嫌うようだし(心理描写が浅いわけではない)、わりにスイスイと事を進めてしまいがちなので(ハラハラした記憶がありません)、テンションが上がりきらないことが多いです。

もう一押し二押し欲しいけど、この作家の筆力の高さを見せ付ける作品であることは間違いないです。
wildsoul.jpg
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  1. 2006-04-30 18:06:54
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クレイジーヘヴン (垣根涼介)

これ以前に読んだ2作品でも屈託のある人物像を扱っていたけど、必ずしも内面のドラマがメインではなかった。『クレイジーヘヴン』では主役二人の内面のドラマが前面に出て、バイオレンスとかアクションとかミステリーが添え物になっている。そういう意味では既読の2作品とは毛色が違うけれど、薄味であっさりとしたテイストは同じ。

主役二人の内面が丁寧な手つきで描かれているのだけれど、あっさりとした持ち味が裏目に出て内面のドラマとしては手応えが弱い。内面のドラマとするならば、地の文での説明的な心理描写は抑えて、仕草とか言葉の端々から真情が零れ落ちる、みたいな腰の据わった演出が欲しい。無駄口が少ない作家だから説明調が鼻につくことは無いけれど、状況に語らせる演出法になってないから言葉が走ってしまう。性描写が入れば生々しくなるというもんではないし。バイオレンスとかアクションとかミステリーならこれでもいいのだろうけれど・・・

スタイル面で違和感はあったけど、心理の掘り下げは丁寧だし説得力がある。
そしてひっかかりなくスイスイと読める美点はここでも健在。
crazyheaven.jpg
  1. 2006-04-30 18:06:31
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午前三時のルースター (垣根涼介)

父親探しのためにベトナムに旅立つ少年とこれに同行した主人公が意外な事実にたどり着きます。

とにかく読みやすい。すいすい読めてしまいます。退屈しないし、不快感を覚える演出・描写はほとんどありません。そのぶんインパクトも軽めですが・・・

物語の舞台や登場人物たちは普段お目にかかれないような興味深い設定になっていますが、こういう小説にありがちな長ったらしい状況説明はなくて、ストーリーを追いながら自然に状況を飲み込むことができます。

意外性はあるし陰謀やら愛憎やらも一通り盛り込まれていますが、主人公たちの捜索がサクサク進捗するのと、緊迫感を煽るような描写が無いためにすべるように進行します。インパクトとしては軽量級で、欠点とみるか個性と見るかは受け手次第でしょう。
個人的には、目配りは行き届いているし、気軽に読める娯楽小説としてはアリだと思います。

この作家さんは軽量級のテクニシャンってところでしょうか?
gozensanjixrustar.jpg
  1. 2006-04-30 18:06:07
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サウダージ (垣根涼介)

読み終わってから知ったのですが『ヒートアイランド』『ギャングスターレッスン』の続編だったらしい。読み終わっても気づかなかったけど(笑)。

帰化していた南米から日本にやってきた一匹狼の犯罪者と、凄腕の強盗団の物語。

すいすい読めちゃいました。夏の素麺みたいにツルツルーっと。
そのぶん軽いですけどね。
一匹狼の犯罪者はかなりえぐい生い立ちのはずなんだけど、読んでてそんなに重くないし。
強盗団のメンバーもハードな設定のわりに行動は牧歌的。彼らがやらかす強奪も肩透かしなくらいあっさり成功しちゃうし、その後に待ち受けているエンディング(=一匹狼のことです)も「ハァッ!?」って感じ。
でも、こんだけ読みやすかったら軽くてもいいんじゃないでしょうか。なかなか快適なノド越しでしたよ。

この作品の見所は南米からの出稼ぎ娼婦DD。滅茶苦茶キャラが立ってます。片言の日本語も楽しいし。クライマックスの緊迫感も彼女のキャラがあってこそ。
saudarge.jpg
  1. 2006-04-30 18:05:46
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