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八月の路上に捨てる (伊藤 たかみ)

第135回芥川賞受賞作。

ずいぶん前に芥川賞全集をまとめ読みしたことがあって、ネットで確認したところ60年代後半から70年代の受賞作だったみたい。ぱっと思い出せるところでは庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』、村上龍『限りなく透明に近いブルー』、古井由吉『杳子』、丸谷才一『年の残り』(作品は嫌い)、青野聰『愚者の夜』(ちなみに、この作品が受賞した第81回には村上春樹『風の歌を聴け』がノミネートされていたけれど、両者の優劣はともかくとして、『愚者の夜』は受賞にふさわしい作品と思います)といったあたり。タイプは異なれど共通するのは、見知らぬ内面を疑似体験したような、圧倒的な印象を受けたこと。
このときのインパクトがわたしの芥川賞の基準点になっていて、わたしごときがとやかく言うような筋合いではないけれど、最近読んだ芥川賞受賞作品は総じて小粒に感じられる。巧拙とは別に圧倒的な感じを受けない。60~70年代にあったある種の暑苦しさが時代とともに風化しているだけなのかもしれないけれど。

そういう意味で、この『八月の路上に捨てる』は良くも悪くも期待を裏切らなかった。
主人公と同僚の日常的な仕事風景が、前景として臨場感を以って描かれる。二人のやり取りに交えて、主人公とその妻との出会い~破綻が回想される。回想の方は、地の文主体にあっさりと描かれる。ただし、最後のデートの場面には臨場感が与えられていて、作者の演出意図なのだろう。

前景である現在と回想のからめ方に工夫があるのかもしれないけれど、とにかく淡々と進んでいく。締めくくりの捨て台詞で一気に作品に陰影を与える作戦のようだけど、こちらにまで響いてこない。もともとの弾力が乏しいから、逆方向に弾いても、はかばかしい反発力が発生しないような感じ。

各場面で人物の心理の陰影は伝わってこない。作家のスタイル(淡々として素っ気ない筆致)がそのように感じさせるだけで、その奥には深い色合いがあるのかも、などと思わないでもないけれど、結局のところさほどの奥行きは無いような気がする。


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  1. 2008-01-30 01:29:01
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ドライブイン蒲生 (伊藤たかみ)

久々の読書は、2006年下期に芥川賞を受賞した伊藤たかみの短編集。『ドライブイン蒲生』『無花果カレーライス』『ジャトーミン』の3篇収録。

この作家の本は、以前に『指輪をはめたい』を読んでいて、読了したものの、気が乗らなくて(?)感想をアップしなかった。その作家が芥川賞受賞と聞いて、純文学系の作品を読んでみたくなった。

3篇とも家族のつながりが題材。一人称自分語りで、現在の出来事と、主人公=語り手が育った(破綻には至らないが円満とは言いがたい)家族の追憶が交錯して、最終的に家族のつながりを確認して終了、という流れ。
目新しさは無いと思うけど、感情移入の乏しい淡々とした語り口が特徴的、と言えなくも無い。

伊藤たかみが一角の純文学作家であることは分かった。が、とりたてて印象的とは言いにくい作品群。
素直に仕立てられているから読みやすいけれど、こちらが歩み寄って耳をそばだててやらないと伝わってこない面倒臭さがある。

たぶん作者にとって思い入れのあるテーマなのだろうけれど、読者がみなそのことに同じくらいの強度で関心を持っているわけではなくて、だからこそ読者を作品世界に引きずり込む臨場感とか訴求力が期待されると思うのだけれど、その種の力強さは感じられない。主人公=語り手の心境が、頭で理解できても、心に染みてこない。
スタイルとしての簡潔さ、淡白さは理解できるけれど、それとこれとはたぶん別の話。

というわけで、いやな感じはないけれど、ちょっと物足りない。
さて、芥川賞受賞作はどんなだろ?

本の感想は久しぶりなせいか、うまく書けない・・・

driveinngamou.jpg
オンライン書店ビーケーワン

  1. 2007-03-22 21:57:50
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