『池袋ウエストゲートパーク』『オアシスの恋人』『エキサイダブルボーイ』『サンシャイン通り内戦』の4編からなる連作。
いずれもスムーズかつ快適に読めました。主要キャラを一貫させつつ各4編に異なる性格が与えられていて、飽きさせません。
ただし、ドラマとしてのつくりが薄手だから、読み応えは乏しいです。
主人公=語り手は都合よく他人の信頼を勝ち得たり、本腰入れて乗り出すと大した障害も無くスンナリと事件が解決したり。危機一髪やどんでん返しが皆無なので、裏の世界を扱っているわりにハラハラドキドキが乏しいです。そういう意味で『サンシャイン通り内戦』以外の3作は欲求不満が残りました。
『サンシャイン通り内戦』も同じパターンだけど、主人公の恋愛と少年たちの抗争が交差して扱われていてテンションは高め。充足感を覚えるほどではないけど、先へ先へと牽引する力を感じました。
主人公=語り手の薄っぺらなキャラも気になりました。池袋に対する強い思い入れ、一匹狼を貫く姿勢、それなりに機転も人望もあるのに半端に家業を手伝うだけの日常、みたいなものが単なる設定でしかなくて、人間らしい手応えを伴っていません。感情移入する器としては物足りませんでした。
連作という形態からしても、ドラマを構築するのが狙いではなくて、ある種の気分とかノリを表現するのがコンセプトなのかもしれません。その点では作者の器用さを感じました。ただし気分もノリもBGM的で軽いです。
アレコレ考えないで気楽に読み流すのが吉。
- 2006-04-30 06:19:24
- 石田衣良
-
|
-
Trackback(0)
-
Comment(0)
-
Top ▲ Home
この作家の作品はこれがお初です。
連作短編集で、思春期の友情が爽やかに描かれています。
想像以上に巧かったです。
たとえば早老症を扱った第一話なんか、内容的にも絵的にも爽やかにまとめるのは難しい題材だと思いますが、実際に起こったであろう出来事のうちの綺麗な部分だけを抽出して、ドラマとして破綻無く読ませてしまいます。こういうのは嘘臭くなりがちですが、それを感じさせないのはセンスと巧さだと思います。
収録されている8編は、温度差あるものの、バラエティに富んでいてかつ粒が揃っていると思います。
裏を返せば、演出された、作られた爽やかさであって、1〜2編くらいだと気にならなくても、一冊を読み通すうちに作り物っぽさが意識されてきました(1〜2編くらいで感じさせないのが巧さとも言えます)。
年を食ってから14歳の頃を憧憬してしまうのは、その後の年月で多くの物を失ったからで(もちろん得た物もあるけど)、失った物たちへの愛惜抜きで当時を振り返れば、その年頃なりの生々しい人生があったと思います。
ここでは、題材としては過激であったり重かったりするけれど、口当たりよく料理されていて、胸を衝かれるような鋭さ、生々しさは見当たりません。
小説だからこそ綺麗ごとの思春期を堪能したいという読者はたくさんいるはずで、そういう読者にとっては、生々しくないこと、綺麗ごとであることはむしろ魅力なのでしょう。
個人的にはこれだと綺麗すぎて・・・。爽やかな場面より、早老症と向き合い少年、過食・拒食を繰り返す少女、自分を持て余す放送委員の少年なんかの描写の方が印象に残りました。
ただし、作者の思春期が実際にこの小説のように爽やかであったかもしれないし、わたしの思春期が自分で思っている以上に悲惨だったのかもしれません。このいずれかに該当する場合は、ここでのわたしの感想は的外れです。

- 2006-04-30 06:19:03
- 石田衣良
-
|
-
Trackback(1)
-
Comment(0)
-
Top ▲ Home