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ロードス島戦記完結編。
第6巻・第7巻は『ロードスの聖騎士』上下巻に相当します。
まあ、なんと言いましょうか、こんなもんかなぁ、というところでしょうか。期待は下回るけど、予想は裏切らない、みたいな感じで。
第5巻まではパーンという騎士が主役でしたが、完結編にいたって、第6巻で初登場のスパークという人物が主役に躍り出ます。パーンは憧れの対象に格上げ。第1巻から15年の月日が経過しており、パーンはすっかり30男。一気に若返らせるのは理解できますが・・・首を挿げ替えてパーンの冒険をなぞっている印象が無きにしも非ずで、二人が直接共演する場面では、微妙に被ってます。
第5巻『王たちの聖戦』で触れたようにパーンのキャラは第2巻以降膠着気味なので、主役の挿げ替えは英断ではありますが、本をただせばキャラ造形が弱いということか。
ただし、スパークの冒険自体はそれなりに楽しめますし、内面の丁寧な描写はパーンの若手時代(第1巻)を上回ります。作者のスキルアップの成果か?
後半は、ロードス島内各地で同時進行する戦闘が、畳み掛けるように小気味良く場面転換され、盛り上がります。
ただし、敵方が腰砕け気味なのと、クライマックスがこじんまりなのとで、はじけ切れない恨みはあります。
でも、こんなもんでしょう。一気に読ませる勢いがあるし、濃淡ありますが、第1巻からの複数の流れが、丁寧に総括されています。
《シリーズ全体を振り返って》この手の冒険系ファンタジーに期待するのは、読み終えることが悲しくなるような魅力的なキャラ&世界観、飽きの来ないストーリーテリングに、クライマックスでの興奮とか高揚。
『ロードス島戦記』は、いささかこじんまりとしていますが、世界観は煮詰められているし、終盤手詰まり感が漂うも、キャラの魅力は否定できません。
物足りないのは、盛り上げを含めたストーリー構成。丁寧に造られていて、弛緩することはありませんが、長丁場を維持するには腰が弱いか?
1つは、クライマックスでのサプライズが弱いです。このあたりまでかな、というところで予想通り潮が退きます。できればそこでもう一伸び、いい意味で期待を裏切ってほしい。そこまでやるのか!、と圧倒して欲しい。
もう1つは、これはわたしの趣味が入りますが、もっと因縁とか情念を張り巡らせて欲しい。このあたりが淡白で、その淡白さが爽やかな読み味につながっているから、作家の個性と看做すべきかもしれないけど。
正義とか道理とか愛とかの“光”を際立たせるのは、恨みとか嫉妬とか利己心などの“影”。“影”が薄いと、ドラマも薄くなって、長丁場で息切れしてしまいます。完結編での主役交代劇の一因かと。
ライトノベルというジャンルに求めるべきものではないのかもしれませんが・・・
というわけで、物足りなさはあるものの、このジャンルの面白さ、醍醐味を味わえるのは間違いなくて、飽きっぽいわたしが、さほどのストレスや忍耐を感じることなく読み通せました。
- 2006-06-01 09:27:39
- 水野良
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第5巻『王たちの聖戦』は、シリーズ中盤の山場を形成する第3巻〜第4巻(『火竜山の魔竜』上下巻)と、(未読なので想像だけど)シリーズの掉尾を飾るはずの第6巻〜第7巻(『ロードスの聖騎士』上下巻)とに挟まれています。つなぎ的な印象が無きにしも非ず。
3話構成になっていて、連作短篇〜中篇集のノリです。各話の舞台はロードス島内の異なる3つの国で、主人公たちが侵略者撃退に助太刀し、各国の為政者たちに恩を売る、というパターンが繰り返されます。それぞれは外伝的冒険譚として楽しめますが(とは言え、次巻以降の流れを左右しそうな出来事がところどころ散りばめられています)、一冊通してのテンションは控え目。
各巻毎にテーマとかトーンを変えてくるこのシリーズ。
本書では、3つの冒険(戦い)を通して、主人公は各国の王たちと共に戦いながら、彼自身王に立つことを請われ、王とはなんなのか?自分は何をしたいか?に思いを巡らせます。
ここまでの主人公の活躍ぶりからして、王になることを望まれる、という展開には少し無理を感じます。本人が謙遜して固辞するから、筋は通っていますけど・・・
第3巻・第4巻(『火竜山の魔竜』上下巻)でも触れましたが、主人公のキャラが第2巻以降膠着気味。戦士としての成長は描かれているけれど、それ以外の面では思考や行動のパターンが固まっていて、面白味は今ひとつ。恋仲のエルフ(≒妖精)との関係も然り。このあたりが限界なのかも・・・
筆致は前作と同様に危な気が無くて、安心して楽しめます。
いよいよ第6巻〜第7巻(『ロードスの聖騎士』上下巻)はシリーズ完結編。第5巻はその布石という意味合いがあるのかな?
ここまで来たら、シリーズ制覇します!(読みやすいから、気合入れる必要は無いけど・・・)

- 2006-05-30 20:32:08
- 水野良
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『ロードス島戦記』第3巻・第4巻は『火竜山の魔竜』上下巻に相当します。
17年も前に刊行された本にこんな誉め方はどうかと思いますが・・・第1巻、第2巻の感想で指摘した物足りない点にきっちりと対応されていて、着々とバージョンアップ!
第1巻『灰色の魔女』での不満は2点。
1点目はストーリー展開が駆け足になっていることで、これは第2巻で修正されていて、この『火竜山の魔竜』でもOKです。
2点目は、主人公(人間)とエルフ(≒妖精)の女の子の恋愛模様に、異なる種族であることに起因する心の綾が感じられない点。ごく軽い扱いなので物足りませんが、第3巻でようやくフォローされています。
第2巻『炎の魔神』は、第1巻に比して密度はアップしていますが、作者の目線が主人公に集中しがちで、物語として広がらない恨みがあります。
『火竜山の魔竜』では、脇役たちがクローズアップされて、群像劇としての広がりが感じられます。この点が『火竜山の魔竜』の最大の収穫ではないでしょうか!?
“支配の王錫”(強力な魔力を持つ宝物)争奪戦と狂戦士オルソンの心のドラマが物語の屋台骨になっていて、つまり複線的な構成ですが、これを背景に各キャラがこれまで以上に活き活きと振舞っています。
意地の悪い見方をすれば、主役の二人のキャラが弱いので(型にはまり気味)、この二人を軸に何巻も引っ張り続けるのは厳しそうだから、丁度いいタイミングで目先を変えたと言えるかも。
イラストの雰囲気から軟派なイメージを持たれるかもしれませんが、そう思いながら読むと意外にシリアスで、前述の狂戦士オルソンの心のドラマなんかは、ありきたりな感じではなくて、作者としての人の心に対する洞察が映し込まれています。
というわけで、前2巻の基本的な部分での引っ掛かりが解消されて、ラノベ寄りの冒険系ファンタジーとして過不足を感じさせない仕上がり。このジャンルのパイオニアとなったことが納得できる読み応え。
しかし読者とは欲深いもので、基本的な部分での引っ掛かりが解消されても、全面的に満足ということにはなりません。
ストーリーの一方の軸である“支配の王錫”(強力な魔力を持つ宝物)争奪戦の盛り上げが今ひとつ。じっくりと引っ張ったわりにあっけない幕切れで拍子抜け。ここはもう一押ししてくれなきゃ!
もう一点は贅沢な不満なのだけど、上で主役のキャラが型にはまっていると指摘しましたが、これはすべてのキャラに当てはまって、各々個性的ではありますが、みんながその個性の範囲内でお行儀良く振舞っていて、だから違和感は生じにくいけれど、意外性とか驚きは控えめ。これは、ここまでの4冊の印象ですが。

- 2006-05-28 07:20:56
- 水野良
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第1巻がロードス島全土を巻き込む大掛かりな戦いを描いていたのに対し、この『炎の魔神』はこじんまりと島内の一国の内戦に焦点が絞られています。戦い模様がこじんまりとまとめられているかわりに、主役の二人の成長にウェイトが置かれています。
大風呂敷を広げたために後半駆け足になった第1巻『灰色の魔女』に対し、こちらは隙の無い仕上がり。揚げ足を取りたくなるような粗は見当たりません。
第1巻との比較では、世界観の構築がより緻密になり、臨場感が安定的に保たれています。勧善懲悪の単純な構図になっていないところもなかなか。そして主人公の成長振りが頼もしい。
おそらくシリーズ全体の流れの中では地味なポジションにあると思われますが、個人的にはなかなか楽しめました。
(この段落、微妙にネタバレです)
欲を言えば、盛り上げにもう一工夫欲しいです。エピソードがA→B→C→Dと時系列に整然と展開していくので、伏線の面白さとかドキドキ・ハラハラが控え目になっています。
後半、炎の精霊を使う敵軍に苦戦した主人公たちは、対抗策として風の精霊の元に向かいますが、主人公たちが目的を果たして帰還するまで戦争が一時停止しています。どうせなら、戦争を同時進行させて、あわや敗戦というギリギリのところで主人公たちを登場させる、くらいのことはやって欲しいです。
もしかしたら、この小説のルーツはロール・プレイング・ゲームなので、ゲーム・プレイヤーの分身としての主人公に作者が釘付けになっているのかも。
ところで、このブログは可能な限り(?)キャラクターとかストーリーに触れないスタイルなので、単一シリーズ内で複数冊読んでも、感想は“以下同文”になりがち。この本もどうしようかと迷ったけれど、第1巻とは少し違うことが書けそうなので、記事にしてみました。第3巻以降については、今のところ何とも言えません。
そもそも、今さらこのシリーズの感想を面白がって読んでくれる方がどの程度いるのか分かりませんが・・・

- 2006-05-23 16:02:26
- 水野良
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無料動画配信サービスGYAOでアニメ版『ロードス島戦記』を視聴。凝ったキャラクターデザインと音楽を楽しみましたが、展開があまりに粗っぽい。そこで、小説版を手に取りました。
この『灰色の魔女』は全7巻中の第1巻。アニメ版でいうと、全13話のうち8話までに相当します。
感想を書くとしても全巻読了後かと思っていたら、独立した物語として読める程度には完結性があるので、単体で採り上げます。

今となっては、和製ラノベ系ファンタジーのパイオニアとして、大規模なメディアミックス展開(小説、ゲーム、アニメ、コミックス、音楽・・・等)の先駆けとして、あるいは長耳エルフ像(左の画像は、本書のイラストより)の発案者として語られることの多い本シリーズ。
人気シリーズ誕生の背後にはさまざまな外部要因が働いていたかもしれませんし、古典ゆえの素朴さは避け難いでしょうけど、何にせよ時代を切り開いた作品にはそれなりのパワーとかダイレクトな面白さを期待できます。
この種の作品ではテーマ性とかリアリティは二の次。ポイントは、一緒に冒険しているような気持ちになれる臨場感と、飽きさせない設定とか展開の面白さ・妙味。
このシリーズ第1作『灰色の魔女』は、主要キャラが次々と登場し、世界観が形成される前半部分、つまり“つかみ”はなかなか良いです。ここはシリーズ全体にとっても“つかみ”にあたるわけで、期待感を高めてくれます。
しかし、その後の展開(戦争〜灰色の魔女との戦い)はやや駆け足。まあ、アニメ版に比べたらはるかに丁寧ですが。キャラや世界観の紹介パートである前半より各エピソードの描写が軽くなるのは止むを得ないとしても、ちょっと行き過ぎかも。
まあでも、ストレスを感じることなく最後まで一気読みですから、楽しめました、と言うべきでしょうか。
いい大人のわたしとしては、2巻以降もう少し捻ってくれないとやがて飽きてしまうかも。
たとえば主人公(普通の人間)は不死の存在であるエルフ(≒妖精)の女の子とラブラブになるのですが、彼女が不死であること、異なる種族であることなんかを恋愛模様の彩りに使う、くらいのことはして欲しい。

- 2006-05-22 22:21:04
- 水野良
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